39*白雪姫と真っ赤な林檎 ページ40
『…何故私のことを知っているんですか…？』
にやりと弧を描く口元に負けた気もするけど、
私自身が知らない私のことを知っているのも嫌。
…でももしそれを知ってしまったら…
「知っているさ。
当時の未解決事件のひとつ。」
『…未解決事件？
なにそれ…』
「Aさんは知らないだろうなぁ。
赤ちゃんだったのだから。」
『勿体振らないでよ。
私がなんだって言うの？』
「ははは、そう怒らないでくれ。
Aさんの笑った顔を俺もみたいなぁ。」
のらりくらりと私の話をかわしているんだけど。
イラつくなぁ…
だけど、この人の話が本当ならその未解決事件に私が関わっているの可能性がある。
…もしかしたらその事件に朔間様方も関わっているのか。
吸血鬼は裏の社会を牛耳っているなんて言われている…
「棺桶の様子はどうかのう？
…おや？斑君にいじめられたか？」
部室に戻ってきてくれた零さまの後ろに隠れたのは私です。
これは情けないと分かっていながら…
三毛縞さんは楽しそうに私を見るから本当に腹ただしい。
ぎゅっと制服の裾を掴んで零さまを盾にしてしまっているけど、少し苦手だ。
「ははは、嫌われてしまったな。これは残念無念。
俺としては零さんに向けるような笑った顔を見たかっただけなんだけどな。」
「うーむ、Aは人見知りだからのう。」
エアコンの作業自体は終わっていたらしく、三毛縞さんは軽音部の部室を出ていこうとする。
「小さい頃のはなしを聞きたいならいつでも教えてあげるぞ」なんて私にだけ聞こえる声で言いながら。
「斑君と何を話していたんだ？」
『…っ、特には…
あの人、少し苦手です。
エサを与えなきゃいけないから海洋生物部に行ってきますね。』
*
パタパタといつものAらしくない態度は
きっと斑君と何かあったのだろう。
「…何か、言われたか…」
愛しいAが害をなすなら、あまり近付いては欲しくはないが。
AはAでもう18歳になる。
いつまでも子供ではないのだから過保護すぎるのも良くないとは分かってはいる。
人間を嫌い、我ら吸血鬼を絶対の存在と思っていても
自らの【両親】のことを考えたことはあるだろう。
「そろそろ話しを聞かせても良い頃合いかもしれないな。」
「なんの話だよ？」
部室に顔を出したわんこに問われるも何の事やらと反らし、愛し子達との部活の時間に興じよう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 510人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りっちー(プロフ) - 面白かったです！更新頑張って下さいね〜！ (2018年5月21日 20時) (携帯から) (
レス) id: ee27b93d84 (このIDを非表示/違反報告)
モカ(プロフ) - 夢小説好きなネコさん» 高２の後半、もうすぐ３年になる時期からのスタートなので俺様じゃありません。 (2017年8月2日 10時) (レス) id: efb045d001 (このIDを非表示/違反報告)
夢小説好きなネコ - 兄者って高2の時俺様だったような… (2017年8月2日 5時) (レス) id: fcd198aace (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：モカ
| 作成日時：2017年7月29日 16時
