30*新月の蜜は甘く惑わす ページ31
朔間零 side
今宵は新月。
吸血鬼にとっては力が湧かぬうえに、心が乱される唯一の日。
夕刻に目覚めるもそれのせいで頭も回らず、わんこもうるさかったから疲れたわい。
何とか家に帰るも夜は遅く「愛くるしい妹」のような存在のAが我輩の恥ずかしいライブ映像を見ておる…
ほんと黒歴史じゃから。
伸ばした手で捕まえてしまえば動揺したのか脈打つ音が聞こえてくる。
湯上がりの後だからか長い髪を束ね、すぐ側に真っ白な首筋…蒼白い血潮…
『…零さま？』
見上げる２色の瞳はどこまでも綺麗な我輩の大切なもの…
新月の夜に生まれたいとおしい娘。
「すまんのう、今夜はどうも力が出ぬ。」
『具合悪い？
私の血ならいつでも差し出すけど…』
凛月がAの血を吸っていることは知っている。
隠しているつもりでも甘すぎる匂いをお互いが纏っている時があるからのう。
「本当に献身的な良い子じゃのう。」
頭を撫でればいつも嬉しそうに目を細めるいとおしい娘。
我輩達吸血鬼なんぞに売られるために運命を変えられた可哀想な娘。
解放してやりたくとも、もはや帰る家すら無い。
「Aは本当に良い子じゃ。
我輩はAが居てくれて幸せ者だ。」
『零さま、ほんとに具合悪いんだね…
血がダメなら精気を吸っていいよ？よくバラから貰ってるよね？』
「心配をかけてしまったかのう？
なら少しだけ老いぼれの為に差し出しておくれ？」
場所を移動しソファーに座るAを押し倒し組敷けば、真っ赤な顔が我輩の下にある。
その首筋に口付けをすると、更に肌まで上気し熱を帯びる。
「A、ずっと我輩の…我輩達の側にいておくれ…愛くるしい子よ。」
分かってはいるが、そのままAは気を失ってしまう。
吸血鬼なんぞに魅入られた可哀想な子よ。
この気持ちに名前を付けるならば確かにそこに愛はあるだろう。
笑った顔が見たい、泣かせても見たい
どんな表情も見たいし、気持ちも共有したい。
「…これは…
凛月が居なくて良かったかのう…」
眠るAを抱き上げ自室へと連れてゆくも起きる様子はない。
久しぶりに入った部屋にこれまた黒歴史…
我輩の写真がデカデカと…
凛月の写真は我輩の持っていないものもあって可愛らしいのじゃが。
眠る髪に口付けをして静かに部屋をあとにした。
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りっちー(プロフ) - 面白かったです！更新頑張って下さいね〜！ (2018年5月21日 20時) (携帯から) (
レス) id: ee27b93d84 (このIDを非表示/違反報告)
モカ(プロフ) - 夢小説好きなネコさん» 高２の後半、もうすぐ３年になる時期からのスタートなので俺様じゃありません。 (2017年8月2日 10時) (レス) id: efb045d001 (このIDを非表示/違反報告)
夢小説好きなネコ - 兄者って高2の時俺様だったような… (2017年8月2日 5時) (レス) id: fcd198aace (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：モカ
| 作成日時：2017年7月29日 16時
