第19幕 かぐや姫の御前 ページ20
Aに向かって、飛びつくように襲い掛かる『辻斬り』。
土方は慌てて叫ぶ。
「オイ、A!!」
瞬間。
辺りにビシャッと血が飛び散った。
時間が止まったような感覚に襲われる。
目を瞬いて見れば、Aの紅桜は水平に構えられ、『辻斬り』の血がべったりとついている。
Aが『辻斬り』を斬った。
その単純な事実を認識するのに、何故か妙に時間がかかった。
ゆっくりと、Aの顔があげられる。
「・・・・・!?」
それを見て、土方たちは思わず息をのんだ。
彼女の顔には、まるで相手を見下すような笑みが浮かんでいる。
「・・・下らないわ」
「は?」
彼女が発した冷たい声。
訳が分からず、土方は思わず聞き返した。
Aは軽く目を細める。
「これで、何が月の国の新しい住民かしら。こんな安っぽいオモチャ、お呼びじゃないわ」
違う。
Aじゃない。
彼らは、瞬時にそう悟った。
容姿は確かに、彼らの見慣れたAだ。
だが、この冷たい様子は、いつもの彼女とは似ても似つかない。
Aは刀を大きく振って、『辻斬り』の血を払った。
「道を開けなさい。かぐや姫様のお通りよ」
彼女の口元に、ニッとした笑みが浮かぶ。
----姉様二人の顔を見た!?引き継いだのが自分じゃなくて良かったって顔だわ!!----
「あたしの御前を汚す者は、二人の姉様みたいに真っ二つにするわよ?」
「!?」
Aはそう言うなり、大きく飛び出して、辻斬りの元に飛び込んだ。
「あはははははははは!!!!」
狂ったように笑いながら、疾風のような勢いで『辻斬り』を斬り殺してく。
「な・・・何だ!?」
百華達は、突然の狂人の出現に驚いて、思わず退いた。
その判断は、賢明であった。
そうでなければ、『辻斬り』と一緒に斬られていたかもしれない。
Aは血で顔を染めながら、楽しそうに殺戮を繰り広げていく。
「Aさん・・・!!Aさんはどうしちゃったんですか!?」
妙が信じられないといったような表情で、銀時に尋ねた。
だが、当然答えられるはずもない。
彼の方が、聞きたかった。
目の前に居る彼女は、一体誰だ。
Aに姉などいない。
一人称も、『あたし』ではない。
あんな風に、殺戮を楽しんだりしない。
新八は青ざめた顔で前を見やる。
以前見た夢。
血に狂ったAの夢が思い出された。
予知夢?
まさか。
彼が偶然見た夢は、既に現実に近づいていた。
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なーさん(プロフ) - テスト頑張ってください!! (2014年11月16日 18時) (レス) id: d351fb8f9b (このIDを非表示/違反報告)
List(プロフ) - 頑張ってください!!いい結果待ってます!!^^ (2014年11月16日 18時) (レス) id: 03b1c2db39 (このIDを非表示/違反報告)
声優志望の塊 - テスト頑張って下さい!!私も期末テストがァァァ…(汗)お互い頑張りましょう!! (2014年11月16日 16時) (レス) id: 6657ffd95b (このIDを非表示/違反報告)
リア - アニさん» 春雨は一応出てくる予定です!!メインではないので、申し訳程度ですが・・・・・。楽しみにしていてください!! (2014年11月16日 14時) (レス) id: d14a04e072 (このIDを非表示/違反報告)
アニ - 御返事ありがとうございます!紫京登場しましたけど、春雨がでてくるのでしょうか?p (2014年11月9日 14時) (レス) id: a3f197bbbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リア | 作成日時:2014年9月18日 20時