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第11幕 全てを知る者 ページ12

見廻組。

名門のエリートから結成された警察組織。

その局長・佐々木異三郎は、相変わらず携帯をいじっていた。

とても思案気な表情をしている。

彼の近くでは、今井信女がソファに座ってドーナツを頬張っていた。

ドーナツを口にする音と、携帯のボタンのピッ、ピッという音だけが部屋の中を支配している。

きわめて静かな雰囲気だった。

かと思えば、佐々木が急に口を開く。

「Aさんからメールの返信が来ませんね・・・やはり、あの情報は・・・」

恐らく独り言だろう。

だが、それは信女の鋭敏な耳には一字一句逃さず届く。

普段は他人の言葉にそれ程興味を示さない信女だが、

聞こえてきた『A』という単語に、今回ばかりは興味を示した。

彼女のその様子に気付いた佐々木は、あからさまに驚いたような顔をする。

「珍しいですね。・・・気になりますか?」

「・・・・・」

「そう言えば、出会った当初からアナタにしては友好的でしたね」

気になっているのは事実だ。

だが、別に彼女と仲良くなりたかったからとか、そんな理由ではない。

今井信女に、そんなもの必要ない。

ただ、彼女の瞳の奥に眠る『何か』が。

信女の興味を引いたのだ。

彼女はその正体にいくらか見当をつけていた。

そして、いつだったか、Aがかぐや族・・そしてその頂点に立つ者、

かぐや姫だと知って、それは確信に変わった。

信女は凛とした表情で前を見据える彼女の姿を思い出す。

信女は思っていた。

彼女が今の彼女のままであり続けるのなら、私の知っている真実も、杞憂に終わる、と。

だったら知らなくていい。

一生知らないまま、誰かと生きて、幸せになればいい。

そう思っていた。

そう。

佐々木からこんな言葉が出るまでは。

「・・・どうやら、Aさんが記憶喪失になったらしいですよ。相当弱っているとか」

「・・・・・・・!!」

佐々木の言葉に、信女はピクリと表情を変える。

普段の彼女から考えれば、相当な変化だ。

「のぶめさん・・?」

佐々木は訝しげに信女を見やる。

「・・・・を・・・」

「はい?」

「・・・・車を出して。Aを探す」

一体なんだというのだろうか。

彼女は一体何を焦っているのか。

たかが記憶喪失、というのは何だが、命の危機がある訳ではないのだ。

それなのに・・・。

「早く!!」

珍しく声を荒げる信女。

佐々木は急に真剣な表情になると、車の鍵を持って部屋を出ていった。

第12幕 存在と居場所→←第10幕 友の記憶



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設定タグ:銀魂 , 逆ハー , 微原作沿い   
作品ジャンル:アニメ
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なーさん(プロフ) - テスト頑張ってください!! (2014年11月16日 18時) (レス) id: d351fb8f9b (このIDを非表示/違反報告)
List(プロフ) - 頑張ってください!!いい結果待ってます!!^^ (2014年11月16日 18時) (レス) id: 03b1c2db39 (このIDを非表示/違反報告)
声優志望の塊 - テスト頑張って下さい!!私も期末テストがァァァ…(汗)お互い頑張りましょう!! (2014年11月16日 16時) (レス) id: 6657ffd95b (このIDを非表示/違反報告)
リア - アニさん» 春雨は一応出てくる予定です!!メインではないので、申し訳程度ですが・・・・・。楽しみにしていてください!! (2014年11月16日 14時) (レス) id: d14a04e072 (このIDを非表示/違反報告)
アニ - 御返事ありがとうございます!紫京登場しましたけど、春雨がでてくるのでしょうか?p (2014年11月9日 14時) (レス) id: a3f197bbbb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リア | 作成日時:2014年9月18日 20時

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