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第10幕 友の記憶 ページ11

「どーだ?なんか思う出せそうか?」

銀時は、俯き加減で隣を歩くAに優しく問いかける。

今、彼らは妙に会いに、恒道館に向かっている所だ。

運が良ければ、九兵衛も遊びに来ているかもしれない。

Aは銀時の問いに、切なげな表情を浮かべて答えた。

「・・ごめんなさい。懐かしい感覚がする事はあっても・・・記憶はまだ・・・」

「そうですか・・・」

新八も、Aにつられるようにして、落ち込んだ声で呟く。

やはり、彼としても相当参っているんだろう。

普段の凛としたAに慣れ過ぎているから、猶更だ。

神楽はそんな新八の肩を勢いよく叩きながら、Aに笑いかけた。

「大丈夫アルヨ!!きっとふとした拍子にポロッと思い出すネ!!」

「・・・」

Aはただ微笑むだけだ。

やはり、どれだけ周りが『大丈夫だ』と言ってくれても、

冷静に考えればもっと申し訳なくなってくるんだろう。

実際は不要な心配だとしても。

自分の為に懸命になってくれる人達を見て嬉しく思うと同時に、

未だに何も思い出す事が出来ない自分、という現実が、重たくAに圧し掛かってきた。

それに、さっきから何やら頭痛が酷い。

「A・・・」

神楽が続けて何かを言おうとしたその時。

「新ちゃん!!Aさん!!」

「あ・・・姉上!?」

焦ったように走りながら、妙がこちらに近づいてくるのが見える。

後ろには、九兵衛や月詠までいた。

「猿飛さんから聞いたわ。Aさんが記憶喪失になったんですって?」

さすがは猿飛、情報の伝達が早い。

銀時は内心感心しながら、頷いた。

「まァな。で、今丁度お前の家に行こうとしていた所だ」

「そう・・・・」

妙は息を整えながら、Aに向き直る。

「Aさん。私、新ちゃんの姉の、志村妙です」

妙に続くようにして、九兵衛や月詠も口を開いた。

「柳生九兵衛だ」

「月詠でありんす」

「あ・・・上条Aです」

彼女達に対して自己紹介は必要ないのだが、Aはわざわざ丁寧に頭を下げる。

これを見て、妙達も記憶喪失を確信したらしい。

妙はAの手を取って、穏やかに微笑んだ。

「私達は、あなたの友人です。今まで色々な事を話して、遊んで・・・・」

妙の言葉の節々から、彼女の強さが滲み出ている。


 ----君は、凄く強い人だったよ----


神威の言葉が思い出された。

自分自身も、目の前にいる彼女の様に強い人間だったのだろうか。

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設定タグ:銀魂 , 逆ハー , 微原作沿い   
作品ジャンル:アニメ
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なーさん(プロフ) - テスト頑張ってください!! (2014年11月16日 18時) (レス) id: d351fb8f9b (このIDを非表示/違反報告)
List(プロフ) - 頑張ってください!!いい結果待ってます!!^^ (2014年11月16日 18時) (レス) id: 03b1c2db39 (このIDを非表示/違反報告)
声優志望の塊 - テスト頑張って下さい!!私も期末テストがァァァ…(汗)お互い頑張りましょう!! (2014年11月16日 16時) (レス) id: 6657ffd95b (このIDを非表示/違反報告)
リア - アニさん» 春雨は一応出てくる予定です!!メインではないので、申し訳程度ですが・・・・・。楽しみにしていてください!! (2014年11月16日 14時) (レス) id: d14a04e072 (このIDを非表示/違反報告)
アニ - 御返事ありがとうございます!紫京登場しましたけど、春雨がでてくるのでしょうか?p (2014年11月9日 14時) (レス) id: a3f197bbbb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リア | 作成日時:2014年9月18日 20時

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