【文スト】ただ、みんなを支える為だけに (ページ32)

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三十一 ~過去~ ページ32

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芥川side

夢を見た。

僕が、まだマフィアに入ったばかりの頃の夢だ。

そして、Aと出会い、過ごした夢。

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太「芥川くん、少し出かけよう」

芥「はい、分かりました」

あの時、僕は太宰さんに連れられ、外へ出かけた。

僕は、貧民街を出たばかりで、殆ど知恵がない頃だった。
太宰さんの性格も段々分かりだし、マフィアにも少し馴染めた…気がする時だ。

太「はっ…！あんなところに美女が…！」

芥「あ…太宰さ…」

何時ものように、太宰さんは女性の方へ駆け寄る。
僕は、近くにあったベンチに座り、待つことにした。

しかし、一向に太宰さんは戻って来ない。

もう置いて帰ってしまおうか、と思っていた時だった。

幼女が僕の前で転んだ。
人混みの中、その幼女は泣き叫ぶ。

どうやら膝を擦りむいたらしい。

僕は、その幼女の方へ行こうと立ち上がろうとしたら、1人の女がその幼女の前にしゃがみ込んだ。
その女は、少しボロボロな服を着て、ちゃんとした服を着ていなかった。

「どうしたの？あ、膝を擦りむいちゃったのね。大丈夫！今から私が魔法をかけてあげる！」

幼女「ひっく…魔法…？」

「うん！見てて…」

僕は、魔法、という言葉に違和感を持った。

だから、その女をじっと見ていた。

「痛いの痛いの飛んでいけ！貴方の怪我も飛んでいけ～！」

すると、その幼女の体はオーラを放ったように輝き出し、女が膝に手をかざすと、いつの間にか怪我が無くなっていた。

…あの女は魔術を使うのか？

いや…異能力、という可能性もある。

幼女「わー！凄い！お姉ちゃん、魔法使いだ！」

「ふふっ、もう痛くない？」

幼女「うんっ！ありがとう！…あっお母さんだ！じゃあね！魔法使いのお姉ちゃん！」

「うん！じゃあね」

その時の笑顔は少し儚げで、優しい笑顔だった。

不覚にも、胸が高鳴った。

だからだろうか。
いつの間にかその女の前に立っていた。

芥「…貴様は…」

「えっ？…あっ、もしかして今の見てました…？」

僕は、その女の手を取った。

…その手は綺麗で、血で汚れるのは到底似合わぬ。
だが、何故だろうか。

僕の口は止まらなかった。

芥「…貴様、名は」

「む、紫Aです」

芥「紫か……紫は、これから何処へ行くのだ」

「…お恥ずかしいことに、行く宛がないもので…」

芥「…後悔してもいいというなら、付いて来い」

「…！はいっ…！」

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