113話 ページ19
.
Aは久作と別れて行動をしていた
褒美に久作は暫く外での行動が許可されている
それが組合に逆手に取られそうだな、なんて考えながら街を歩いていた
Aが今から行うのはマフィアの仕事でも探偵社の仕事でもない
彼女は携帯で地図を見る
目的地に着いた様で、Aは佇んでいた
「…はあ、本当に自分勝手な人。待ち合わせの時間15分くらい過ぎているんだけど」
「君だって時間ギリギリだっただろう?」
Aは声の方向に目線を向ける
其処には、フィッツジェラルドと組合の参謀、ルイーザ・メイ・オルコットが居た
ルイーザの手には分厚い書類が握られている
「で、こんな時に何の用だ」
「電話で用件なら話したでしょう?取引をしましょう、と」
Aは母に貰ったフィッツジェラルドの連絡先を見せる
フィッツジェラルドは少しだけ顔を歪めた
「お前ら親子は本当に俺のこと嫌いなんだな」
「ええ。貴方の計画をなんとなく予測できても、これからあるかもしれない厄災が自分に害を出す可能性があってそれから助けてあげようと提案されても絶対に私は貴方に味方することはありません。利用することはあっても」
言葉は冷たかったがAは笑顔だった
雰囲気だけでも適当に笑顔で柔らかくしようと考えていたのだろうけど、それが逆に恐怖を感じさせる
「お前ら親子は失いたくない人間だからな。俺としてもその手段を使ってお前らを無くすことはしたくないから勧誘を何回もしたんだが…母親すら拒否する始末でな」
「当たり前です。母が貴方に屈することはない」
Aはルイーザの方に笑顔で近付いた
「初めまして、ルイーザさん。知っているでしょうが私は優利井A。現在はポートマフィアで職業体験の様な物をさせていただいている者です。これから逢う機会は多分無いと思われますが、よろしくお願いしますね」
少し冷たいAにルイーザは怯える様に返事をした
「却説、フィッツジェラルドさん。頼んでいた物、持ってきていただいてますよね」
「ああ。これだ」
フィッツジェラルドはルイーザの手元にある書類を指差す
それに少しだけ目を向けた後、フィッツジェラルドを見た
「つまり、私との取引、やってくれると」
「お前次第だ」
「へぇ…私次第とは?」
「さあな」
言葉を濁すフィッツジェラルドに少し気を悪くしながらAは話を進めた
.
4人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ