4話 ページ6
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「それは薄情な施設もあったものだね」
太宰は敦を憐むように言った
だが、国木田はそんな様子もなく、仕事に戻るように太宰に言った
「お二人は……何も仕事を？」
「なァに…探偵さ」
少し格好つけた太宰に国木田と彼女が付け加えた
「猫探しとか、不貞調査とか、そんな仕事ではないんだけどね」
「Aの言う通りだ…斬った張ったの荒事が領分だ。異能力集団『武装探偵社』を知らんか？」
彼女らが所属している武装探偵社は、軍や警察には頼れないような危険な依頼を専門にする探偵集団＿＿＿
昼を仕切っている軍警、夜を仕切っているポートマフィア
その間＿＿＿＿黄昏時を取り仕切る武装集団
無論、彼女や太宰、国木田はその一員で異能力と呼ばれる不思議な力を持っている
「あの鴨居頑丈そうだね…たとえるなら人間一人の体重に耐えられそうなくらい」
「立ち寄った茶屋で首吊りの算段をするな」
「違うよ首吊り健康法だよ知らない？」
太宰の嘘を純粋に信じる国木田には憐れや同情を通り越して呆れしか出てこない
頭は決して悪くないのに…
まあでも、あのペラペラ回る太宰の口は内容次第ではどんな嘘も信じれる気がする
「…ごめんね、敦君。あの二人、いつもああいう感じなんだ」
こんな人間が本当に武装探偵社で信用できるのだろうか…なんて考えられても困るから、二人を庇うように口を開いた
「国木田さんはよく太宰さんにああやって振り回されているけど真面目だし、太宰さんも真面目な時は真面目に仕事してるんだよ」
せめて自分はまともな人間に見えるように、微笑む
敦は単純だからその笑顔に簡単に騙された
＿＿＿＿まあ、その笑みの裏側を敦はもちろん、国木田や太宰も見破ったことはないのだけど
「そ…それで探偵のお二人の今日のお仕事は」
「虎探しだ」
国木田がそう云った瞬間、敦が少しビクッと反応したことに気づく
ここで変に警戒されても困るから、自分の予想は口にしないことにした
「近頃、街を荒らしている『人喰い虎』だよ。倉庫を荒らしたり、畑の作物を食ったり好き放題さ。最近この近くで目撃されたらしいのだけど＿＿＿＿」
敦はわかりやすく動揺し、椅子から落ちた
彼女の目が光る
まるで、全てを見透かしたように
でも、それは一瞬で、誰も気づかない
国木田と太宰に隠れて、自分の異常な部分を隠していた
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