48話 ページ50
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「…A…か」
その日、芥川はとある資料を見ていた
その資料は優利井Aについて
中也が目をつけている、ということで彼女のことは色々と調べられている
「…ない」
Aについてのことの大体は載っていた
彼女の年齢や出身中学校、好んでいるものや、住所や近くにあるスーパー、良く行っている店、
彼女の日常生活など、完璧に私事のことなんて無視された様なことが書いてあった
でも、とある情報についてだけ、何も書いていない
それは____
「彼奴の父親の情報と異能についての情報が一切ない」
異能については憶測での情報が書かれているが、それは決して事実かも判らない情報だ
父親については本当に何もない
職場も、母といつ結婚したのかも、名前すらも
父がいることだけ明らかになっている
「如何してだ…」
精神捜査の異能、とは聞いていたが、芥川はそれが異能ではない可能性に気付いていた
彼女が只々殺気を出していただけ、言葉を巧みに使っていただけ
それだけなのかもしれないということに
彼女の殺気に似た殺気を、芥川は何回か受けたことがあった
____太宰だ
彼女の殺気は嘗ての太宰の殺気に似ている
だからか、彼はそれが唯の殺気であることに気が付いた
「…クソ、あれを捕まえる…か」
現在彼は、鏡花に太宰とAを捕まえるという指示を出していた
どちらも油断ならない相手
この前は仲間がいたから戦闘を彼女は選ばなかったが、今回は独りの時を狙う為、彼女と鏡花は戦闘になるかもしれない
なら、任務の成功率を上げる為に少しでも情報を集める
その為に彼は自ら資料を集めに行ったのだが、肝心な異能についてがあまり判明していないのだ
「…ここまで綺麗さっぱり情報がない…ということは、彼奴には何か後ろ盾があるのか…?それが此奴の父親か…?いや、そもそも此奴の父親の情報がここまで無いのは何で…」
記録では、二人が離婚したという資料はない
つまり、彼らは結婚しているのだが、如何しても父親のことについては判らない
家に帰っている様なところも見たことがない
それは如何してだ
「母親についての資料なら、莫迦みたい出てくるのに…」
Aの母についての情報は腐るほど出てきた
A本人よりもだ
彼女の仕事について、そして____異能についても
でも今母の異能を知っているところで…
結局、芥川の行動は無駄足となった
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