41話 ページ43
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ポートマフィアビル
ポートマフィア幹部、尾崎紅葉は同じくポートマフィアの暗殺者、泉鏡花の髪を結いながらとある写真を見ていた
____その写真に写っていたのは、優利井A
中也が金を貸しているところの娘だ
滅多にそんなことはしない中也が金を貸すなんてしたとき、彼女はとても驚いた記憶がある
紅葉には、現在、首領の命により、とある任務の作戦を練っていた
____探偵社所属、優利井Aを捕まえること
写真に写る美しい少女はとても上品な立ち方、仕草をしていて、
写真越しでも彼女の上品さが伝わるほど
何年も作ってきた笑顔は云われないと作り笑顔だと気付かない繊細で細かい笑顔
それはとても美しかった
「鏡花、お主はこれを捕まえてくるのかえ?」
「…はい。その人と、後は太宰という人」
芥川と樋口が人虎を捕まえに行ったとき、あの時は怪我人がいてAも迂闊に動けなかった
だが、そんな危機的状況でなければ今頃芥川も樋口も大怪我をして帰ってきていたかもしれない
彼女が探偵社で作った功績がすごかった
客の満足度も高く、其処ら辺の益荒男くらいなら余裕で倒せる体術
簡単に人を騙せる演技力
太宰や江戸川には劣るものの、悪くない頭脳
判断、戦略、予測、分析、暗記
いろんな分野に優れた頭脳
極め付けは異能
精神操作なんてとても欲しい人材だ
元からの才能はあるが、努力で手に入れたそれらは、誰もが欲しくなる
ふと、紅葉はとあることを思い出した
Aの母親についてだ
「この笑顔…あれに良く似ておるのう」
Aの笑顔と母親の笑顔は似ていた
中也が一回、本人に笑顔のことを聞いたことがあったらしい
本人はとても嫌そうだったが、立場の関係もあり、素直に応えてくれた
確か、「お母様の演技を真似した。お母様は上品な人の演技をやることが多かったから、それを真似したらいつの間にか演技が上手くなったし、笑顔も作れるようになった」と
彼女の母親はとても有名な女優だった
今は引退しているが、まだ熱狂的な信者も多い
母親を見て自分が求められている人物像を把握し、
生まれつきの演技の才能と母親を見て学習した演技でそれを熟し、現在に至る
それはまだ探偵社は知らないことだし、探偵社はAにとって絶対に素を見せたくない大切な仲間なのだろう
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