34話 ページ36
.
「へえ…Aちゃんが」
「精神操作系の異能がどれほど脅威なのか…身をもって分かっているでしょう。その娘、戦闘員の様だが、先程そいつが僕らに対し、脅しの様なものをしたとき、樋口は怯え切っていた。怯えるときはあるが、ある程度殺しにも慣れている人間。冷静さを失うことは少ない。中也さんも似たような理由で精神操作の異能なのかもしれないと疑っていた。首領はそいつを利用することを考えておられる」
Aは呑気に考えていた
「あー、出血が多いな…探偵社まで歩いて帰れると良いけど…」と
完璧に芥川達への興味はなくなっている
さらに言えば、「太宰さん前職マフィア…いや、七十万の話がなくなることの方が重大だ」と
金に関しては弱いAはお金のことを考えていた
「今月は何万借金が増えるんだろうな」なんて今まで両親が借りた金にさらに上乗せされる金に諦めながら
「でも残念、Aちゃんは渡せない」
太宰は虚無顔をしているAを抱き寄せる
Aはマフィアに攫われそうになったというのに、「この人未成年にまで手を出し始めるんだ…」と、
お金のことについて考えすぎて頭が壊れたからかどうでも良いことをまだ考えている
「借金をしててもあの蛞蝓ぐらい私がどうにでもできるし。それに、Aちゃんは立派な探偵社員だ」
太宰は今までなんとなくずっと思っていた
「Aは昔の自分に似た考えをするときがある」と
冷めた考えをして何人も切り捨てそうになったことだってある
だから太宰はAを大切に思っているのだ
____あの時の自分の様にさせたくないから
大切な人がいて、それを大事に思っているから、彼女はこうやって探偵社でやっていけるくらいの最低限の正義感と道徳を知ることができた
でもそうじゃなければ…今頃マフィアにでもいたのでは?と思ってしまうくらいなのだ
「私はね、Aちゃんを気に入ってるのだよ。君達なんかには渡せない」
「…次は人虎も娘もマフィアが頂く。懸命な判断をしてください、太宰さん」
そう云って芥川と樋口は帰って行った
「…ナオミ」
Aはナオミの体を持ち上げる
負傷した人とは思えない位軽々と
だが、結構無理矢理体を動かしている
太宰はそれに気付きながらも、一人でこの人数は運べないとそれを見て見ぬふりをした
.
2人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ