32話 ページ34
.
「羅生門」
芥川が羅生門で虎の一部を齧る
普通の虎ならば、そこで死ぬだろう
死にはしなくとも、動けなくはなるだろう
だが、虎は削られたところを再生する
元の虎の体に戻った
「再生能力!しかも之程の高速で___!」
「芥川先輩!」
「退がっていろ樋口。お前では手に負えぬ」
先程の失態をどうにかしようと焦る樋口が自分も加勢しようとするが、
芥川はそれを制した
虎は容赦無く芥川に飛びかかる
「がはッ」
芥川は羅生門を使用し、それを防ぐが、かなり吹き飛ばされてしまう
それを見て樋口が仇を討つように虎に銃を撃つが、虎には銃弾が通らず樋口が虎の標的になってしまった
追い詰められた樋口に芥川が羅生門を発動し虎を真っ二つにする
樋口に虎の血飛沫がかかる
「ち…生け捕りの筈が」
だが、芥川が真っ二つにした虎の姿が消える
「細雪……!」
ギリギリで意識があった谷崎が異能を使用していたのだ
今芥川が裂いた虎は虚像で、本当の虎がすぐ近くにいる
「羅生門…叢」
芥川はすぐ後ろまで迫った白虎を羅生門で迎え討とうとした
だが、それを止める者がいた
「はぁーいそこまでー」
太宰だ
こっそり起きていたAは太宰を冷めた目で見つめる
「最初から分かってたくせに…」と
太宰の異能、人間失格は触れた異能を無効化する
羅生門は消え、虎は元の敦の姿に戻った
呆れたAは限界ギリギリの体で立つ
そして敦のすぐそばに駆け寄った
「貴方探偵社の____!なぜここに」
「美人さんの行動が気になっちゃう質でね。こっそり効かせて貰ってた」
樋口は急いで自身の服を探る
そこには盗聴器が仕掛けられてあった
「では、最初から私の計画を見抜いて」
「そゆこと…ほらほら起きなさい敦君。流石の私でも四人は負ぶれないのだよ」
「今さっきまで戦ってた人にすぐに起きて戦えなんてかわいそうなのでやめてあげてください…」
「あれ、君起きてたんだ」
呑気に会話する太宰とA
樋口が「ま……生きて帰す訳には」と銃を向けるが、芥川がそれを止めた
「止めろ樋口。お前では勝てぬ」
「芥川先輩!でも!」
芥川は吠える樋口を無視し、太宰に話しかけた
「太宰さん、今回は退きましょう」
Aは少し疑問に思った
「どうして芥川は太宰さんの名前を知っていて、さらにさん付けで呼んでいるのだろうか」と
そこまで気づいてまだ分からない彼女はある意味莫迦だ
.
2人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ