26話 ページ28
.
「アハハ、それは脅されましたねェ」
現在、谷崎兄妹、敦、A、依頼人の樋口で移動中
敦は谷崎に芥川の写真を見せられたときのことを話した
「笑い事じゃないですよう…兇悪なマフィアとか直ぐに死ぬぞとか…途んでもない処に入っちゃった…Aちゃんにも脅されるし」
「敦君面白い反応するんだもん」
「そうやって僕で面白がって…」
「まァまァ」
少し不機嫌そうな敦を宥めるように谷崎が話す
「ボクでも続けられる位だから大丈夫ですッて」
「でも、谷崎さんも『能力者』なのでしょう？どんな力なんですの？」
「や、あんまり期待しないで下さいよ。戦闘向きじゃないンですから」
「兄様の能力素敵ですよ。ナオミあれ大好き」
「止めなッてナオミ…」と谷崎がナオミの行動を止めるが、
全く聞きもせず谷崎に抱きつきにいくナオミから敦は目をそらした
Aの目を塞ぎながら
「敦君？」
「Aちゃんは見なくていい」
「あら口応え？生意気な口はどの口かしら」
何処か危ない雰囲気を出しているナオミに対して「Aちゃんの目を塞いでよかった…」と安堵する敦
そんなことを考えていると、「着きました」と樋口から声がかかった
樋口が指を指す方向に入っていく四人
薄暗い路地
少し気味が悪いな
敦はそんなことしか思い付かなかったが、谷崎とAは違和感があることに気が付いた
「…ねえ樋口さん、ここであってるの？」
いつも通りの愛想の良い声
でも、冷たさも含んだAの声に敦と樋口は体が冷めていく様な感覚を覚える
そんな二人を放っておいて、谷崎がさらに樋口に聞いた
「無法者と云うのは臆病な連中で＿＿＿＿大抵取引場所に逃げ道を用意しておくモノです。でも此処はホラ」
谷崎は自分達が来た方向に指を指す
「捕り方があっちから来たら逃げ場がない」
この路地では出入りできそうな場所が一つしかなくて、
もし見つかって追い詰められてしまった…なんてことがあった時逃げられない
とても臆病な連中が選ぶ場所だとは思えない
そこに谷崎とAは違和感を持ったのだ
「ねえ、もう一度聞いた方がいいかな…いや、質問を変えよう」
＿＿＿＿目的は何？
完璧に冷めた声がその場を緊張させる
「失礼とは存じますが嵌めさせていただきました。私の目的は貴方がたです」
下ろしていた髪を一つにまとめた樋口さん
色眼鏡をかけ、銃を持つその姿は、マフィアであった
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
