23話 ページ25
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ニコニコと何かを隠すように笑っている太宰
その笑みの後ろにはAを品定めするように見つめている
そんな表情を隠すために笑みを貼り付けていた
「太宰さんは、躯を使うことがあるとは云いましたが、それが直接利益になるとは云わなかった。だから自分を商売として使う風'俗や、女性を持て成すような職業ではないのではないかと考えたので」
Aは、太宰が自分を品定めするように見ていることを知った
簡単に普段から演じている人間から本性を隠すことはできない
敦や国木田、谷崎兄妹は勿論気付いていないが、Aには溢れ出ているかのように見えていた
それでも彼女を口を動かす
「そういった類でないのなら、あくまでそれをすることがあるだけの職業で、尚且つ、未成年でも働けてしまうようなところ。貴方が探偵社に就職したとき、20歳だった。お金には余裕があったように見えたし貯金でもしてたのかもしれない。だからまあまあ稼げて、色仕掛けをすることもあって、未成年でも働けるような場所…でも、それがわからない」
「結構良い推理だねぇ」
太宰は髪を崩さないようにAを撫でる
いつも通りの太宰の様子に、Aは心の中でそっと安堵した
あの人を見定めるような目はなんだったのか
Aは彼のことを知っているようで何も知らない
それが頭の奥底でよく分かっていた
だからさっきの太宰の様子に安堵したのだ
「…太宰さんって本当は無職とかでは…」
「敦君、君までそんなこと云うようになったんだね…うふふ、二人とも降参みたいだ。じゃあ此処の払いは宜しく。ご馳走様〜」
そう云って太宰はうずまきから去って行った
ただでさえ無駄な金を使いたくないのに上司が飲んだお茶代を払わなければならないのか
まあいいや。太宰さんのツケに追加しておこう
あの人どうせ気づかないから
そんなことをAが考えていたときだ
____ピピピピピピピピ
「うン?」
谷崎の携帯が鳴ったようだ
谷崎は自分の携帯を手に取る
「ハイ……え、依頼ですか?」
________
武装探偵社
そこには数人の社員と一人の依頼人がいた
「あの、えーと、調査のご依頼だとか。それで」
と、谷崎が仕事の話を続けようとする
が、それを遮り太宰が前に出た
「美しい……」
国木田の怒り度とAのストレスが急速に上がっていくのを探偵社員は察知した
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