22話 ページ24
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「違う違う違う!!全部違う!!」
敦は思い当たる職業全てを云ったが、全部外した
探偵社には事務員を含めればまあまあな人数がいて、その中のいろんな人がいろんな職業を云っても全て外しているという結果なのだ
敦一人では簡単に中てられない
それに、太宰本人もバレないと思っているような職業らしいからまだまだ余裕そうだ
こんなの日が暮れる
「太宰さん、せめてヒントとかは」
「あげないに決まってるじゃない」
あげたら面白くないから、彼は一切何かの情報を与えてくれることはない
彼が嘘をついていないと云うことが本当なら、彼は一般的ではない職業をやっているということしかわからない
「だから本当は浪人か無宿人の類なのだろう?」
「違うよ。この件では私は嘘などつかない」
Aも賞金を狙っている人の一人
自分の頭の中を全て絞り出して知っている職業を全て云ったつもりだ
他の人達だってそうだ。賞金には興味ないけど中てたい人、賞金にしか興味がない人
それぞれいるがその内の誰一人として彼の職業は中らない
「Aちゃんも賞金狙ってたよね。ほらほら、何かある?」
話を振られたAはその頭で一生懸命に考える
彼女はその年齢でありながらさらにお金を稼ぐためにたくさん調べ物をしていたり勉強をしている
幾つかの検定だって合格している
職についてもまあまあ知っている方ではあるのだ
そんな彼女にも中てれない職種
「うふふ…実はね、探偵社の中では一番君が正解に近いのだよ」
その言葉に敦が反応した
「なんて解答したんですか?!」
「私自身の躯でも使った職業だったんじゃないの?っていう解答だったよ。それでもまだ、もうちょっと捻らないと辿り着けないかな」
自身の躯を使用することがある…
でも、自分の躯を使うことが“直接給料につながる”とは云っていない
それに、躯を使うこともある、と彼は云っていた
それで倶楽部とかの類でないのなら…
そこで彼女は考えてしまった
「…もしかしたら…色仕掛けをすることがある職業…?」
あまりにも小声だったし、敦も真剣に考えていたため、それが敦の耳に届くことはなかった
だが、なぜか太宰には聞こえてたみたいだ
太宰はAのそばに寄って、話しかけてみた
「続けたまえ、Aちゃん。そう考えた理由も私知りたいな〜」
真剣に考えていたAは少し肩を跳ねさせたが、すぐに落ち着きを取り戻した
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