18話 ページ20
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____喫茶うずまき
「すンませんでしたッ!」
机の上に思い切り手を置き、
本来は静かなはずの喫茶店に大きな物音と大声が響く
そこには思い切り敦に頭を下げている谷崎、その隣には妹のナオミ
その前には敦とA
さらにその横には国木田と太宰が座っていた
「へ?」
急に謝られて困惑している敦
谷崎は試験のことについて謝罪をしているようだ
「その、試験とは云え、随分と失礼なことを」
「ああ、いえ、いいんですよ」
敦は思った「意外と良い人だ」と
そんなことを考えている敦の思考を読み取ったかのようにAが口を開く
「谷崎さん、珍しくこの探偵社の中では常識人なんだよ。そこの包帯男とは違って」
「Aちゃん?」
「私、地味に昨日貴方一人で終わる仕事に巻き込まれたこと、根に持ってるんで」
軽く「ごめんごめん許してよ!ほらこれとかどう?甘くて美味しそうじゃないかい?今なら私の奢りだよ」なんて言いながらAにメニュー表を見せる
そこに国木田が「どうせまたツケにするだろ!!Aに迷惑かけるな!!」と怒鳴った
Aはあまり甘味を食べないし飲食は最低限に抑えているため、もちろん却下した
国木田が咳払いして元の話に戻す
「何を謝ることがある・あれも仕事だ谷崎」
「国木田君も気障に決まってたしねえ」
太宰は自身の眉間に指を当て、キメ顔でこう云った
「独歩吟客!」
「ばっ、違う!あれは事前の手筈通りにやっただけで」
「でも国木田さん実際のお仕事の時とかもあんな感じですよ」
「A!?お前矢張り昨日の非番を潰したことで俺も恨んでいるのか?!」
「恨んでいるのは太宰さんだけですよ」
おかげで睡眠時間も取れなかったし、なんて言葉は飲み込む
徹夜なんてバレたら心配されるからな…あと、敦にブラックな会社なんだと思わせたくなかった
「ともかくだ小僧。貴様も今日から探偵社が一隅。ゆえに周りに迷惑を振り撒き車の看板を汚す真似はするな。俺も他の皆もそのことを徹底している。なあ太宰」
「すみません国木田さん。もう太宰さん迷惑を振り撒きに行きました」
「あの美人の給仕さんに頸絞めてもらおうそうしよう!」
「太宰!!!!!!!!」
「…あの迷惑噴霧器」
給仕さんに対して頸を絞めてと頼む太宰に、誰にも聞こえないように毒を吐くA
何を云っていたかは聞こえなかったが、その暗い雰囲気に隣に居た敦は寒気を感じていた
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