11話 ページ13
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朝…と云っても、5時くらいに終わるように走りに行き、
朝食も歯磨きも化粧も終え、Aは探偵社へと向かった
今日は敦の入社試験
準備をしに行かないといけないのだ
私は早めに帰らせてもらっていたので、試験の内容を一切知らない
まずはそれを聞きに行ってその準備もしないといけない
「おはようございます」
今日の朝から夜まで、綺麗に予定を詰め、それを頭に叩き込む
少しの時間も無駄にできない
Aは探偵社の扉を開けた
中には事務員さんがお仕事をしている
自分も仕事を始めようとした時、谷崎ナオミから声がかかった
「A、おはようございますわ！今日は新人さんの入社試験があって…」
「うん、ありがと。試験の概要教えてくれる？」
「まずは＿＿＿＿」
どうやら自分とナオミが人質役で、ナオミの兄、谷崎潤一郎が爆弾魔役
設定は探偵社が恨みを買ってしまって、爆弾魔が襲ってきて、そのまま人質をとって…みたいな
多分、そんな流れなのだろう
「ここまでで何かわからないことはございませんか？」
「えっと…敦君が来る時間って大体何時くらい？」
「今太宰さんが迎えに行きましたけど…あまりにも遅いので国木田さんが迎えに行きました」
「そうなんだ…ありがと」
ここで、ナオミがAの変化を見つけた
「あら、Aって化粧してましたっけ…」
「化粧…？」
なんとなく心当たりがあった
顔に隈があったので、それを隠すために簡単な化粧をしたのだ
目元だけではあるが
まあ要するに誤魔化しである
「しかも、これ…結構お高めのでは…」
母がくれた化粧品
あくまで探偵社に家庭事情を知られないためのものだった
家族仲を良好に見せ、裕福に暮らせているかのような
でも彼女はそれを使用したことがなかった
化粧をする時間もなかったのである
ナオミは、今まで化粧をしてこなかったAが急に化粧をしていたことに驚いた
そんな様子のナオミを見て、探偵社の医者である、与謝野が二人に近づく
「おや？どうしたんだい？…ってAが化粧？！」
「そこまで驚かなくても…」
服だって、適当なものを着ているからか、化粧をしていることに驚きだったようだ
でも、与謝野はそれ以外に気づいたことがあった
「(…なんか、目元を重点的にされているような気がする。それに、いつもより元気がない？)」
Aは、隈を隠すためだけに化粧をしていたから、少し不自然な感じだったのだ
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