22話 歩み寄り方 ページ23
翌朝
昨日のことについて考えながら廊下を歩いている。
私なりに考えはまとまった……筈だ。
正直昨晩は全然眠れなかった。六年生のこと、紫苑のこと、土井先生のこと、他にもこの学園にいる人達のこと…。
考えれば考える程どうしたらいいのか全く分からない。
何せ私は元は第三者だから、この学園の人達の心に足を踏み入れたら傷つけてしまう気がする。けど、他人だとシラを切って何もしないのはもっと嫌だ。
そんなことを考えていると目の前に自分より少し大きめの影が6人分見えた。まさかと思いゆっくり顔を上げると私が想像していた通り六年生が全員揃っていた。
お互いたまたま通りかかっただけなので私もだが本人達も相当ビックリした顔をしていた。
さっきまで冷静に考えていたが六年生の顔を見ると自然と怒りが込み上げてきた。
そうだ、よく考えたら何故何もしてない私がこんな目に合わないといけないんだ
「……こんにちは。」
「………はい、こんにちは。」
怒りで拳を握りしめる。夏休みだからと怠けて切っていなかった爪が手のひらに刺さり痛みを感じると同時に今すぐでも怒鳴りたい気持ちを拳を握りしめることによって落ち着こうとし理性を保っていた。
冷静になろうとしながら話を本題に繋げようとする。
「…あの!お、一昨日の事なんですけど……。」
「その節は本当に申し訳ございませんでした。」
1番手前にいたサラサラなポニーテールの人が真剣な顔で謝罪すると同時に他の六年生達も私に深く頭を下げてきた。
ついさっきまで怒るつもりだった。だけど六年生達の真剣な瞳を見た途端体中から少し力が抜けて握っていた拳の力が大幅に緩んだ。
「なん、で…。」
「…?」
「そんな、真剣な顔して……。」
なんで、そんな顔をして謝るの……?さっきまで凄い嫌な人達だと思ってて例え疑心暗鬼になってる状態でもしていい事と悪い事があるって……。そう、思ってたのに……。
ただ、謝られただけだ。謝罪なんて人間いくらでも出来る。それなのに、その謝罪の一言から、表情から、仕草から彼等の人柄みたいなのを感じ取ってしまい。怒れなくなった。
正直今まで驚きや怒りや不安や悲しみや色んな感情が入り交じってどれが自分の本当の気持ちなのかよく分からないでいた。けど、今感じたこの感覚に嘘は無い。そんな気がして思ったことが素直に口から溢れた。
「………正直、許せない。けど、許してみたい…とは思った。」
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あい(プロフ) - これ面白いです!! 夢主ちゃん可愛い♡ 続き待ってます (2022年4月12日 8時) (レス) id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:飴松 | 作成日時:2022年2月14日 0時