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第9話『優しい』 ページ36

「おはようございまぁす」



眠そうな様子を隠そうともせず、玉森くんが私の隣に並ぶ。



「おはよ。朝からゴミ出した?今日可燃ゴミの日だよ?」



「出しました。きれい好きなんで」



「そう」




会社までの道のりをこうやって玉森くんと歩くのは、あんまりよくないことなんじゃないかと思って、足を速める。




「競歩ですか?」



「え?」



「歩くスピード、急に速くなったから」



「・・別に。玉森くんがゆっくりすぎるんじゃない?じゃあ私は先に行くね?」



「北山さんに怒られたんだ」



「怒られてない」



「絶対怒られた。簡単に家に入れるなって言われたんでしょ?」



「聞いてたの?!」



「ううん。テキトー言ってみただけ。どうしてそんなにちょろいんですか?」



「・・・もういい。玉森くんとは話さない」



玉森くんがあまりにも私のことをバカにするから、大人げなくそんなことを言ってしまう。




大股で歩くことも厭わず、玉森くんと距離を取った。




「土屋さん!」




「話しかけないで!」




「ごめんね!」




予想外の言葉に、足を止める。




振り返った先には、何とも不安げな玉森くんの顔。





「ごめんね、土屋さん」




「・・・玉森くん」



「土屋さんに、ちょっかいをかけずにはいられない」




「だから・・・・




「どうしてだと思う?」




「・・・・そんなこと、私に聞かないでよ」




「意気地無し」




「・・・え?」



「俺、優しいから、これ以上は追い詰めないであげる」




「優しくなんてないじゃない」




困惑する私を見て、玉森くんは嬉しそうに笑う。




「そうだね。優しいのは土屋さんの方だ」



「・・・私は優しいんじゃなくて、優柔不断なだけで・・・」



「優しいよ?土屋さんは」





さっきまで、前を歩いていたのは私なのに、玉森くんは私を追い越して行ってしまった。




これ以上、距離を縮めてはいけない。




頭の中で、警告音が鳴り響く。




玉森くんは、危険な人だ。

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マキ(プロフ) - アニカさん» お久しぶりです。ちまちまとしか書けなくてなかなか筆が進みませんが、どちらとゴールするのか私も知らなくて困っています!笑どうにか完結したものをお届けできるように頑張ります(*^^*) (2021年12月12日 23時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - みゆたままさん» 頑張れるのか、後輩玉森!笑!北山さんと別れる理由もなさ過ぎて、どうしようかと思案してます( ゚Д゚) (2021年12月12日 22時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
アニカ(プロフ) - お久しぶりです。暮れに来て、またまた素敵な切ないお話!玉森くんが本当に玉森くんで(笑)食べちゃいたいほど可愛い!みっくんも不器用に優しくて泣けますね。やっぱりマキさんの作品が読めると、毎日HAPPYになります( ◜‿◝ )♡ (2021年12月8日 3時) (レス) @page1 id: c2540d2c8a (このIDを非表示/違反報告)
みゆたまま - 頑張れーー!!後輩たまもりーーー!! (2021年12月6日 0時) (レス) @page44 id: d71bf58877 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - すいさん» B型コンビのケンカ芸私も大好きです!玉森くんの飄々とした佇まいが好きなので、そういう雰囲気が少しでも出せればと思っています(^-^) (2021年11月14日 2時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マキ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2021年8月1日 23時

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