検索窓
今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:7,598 hit

2 ページ2

「そう。AちゃんはA組なの。進学クラスよね?」



「・・・はい」



「うちの子は進級できるかも危ういのよ。毎日先生から電話かかってきて頭が痛いの」




体調が悪くて早退した時、まだ3限目の時間なのに、二階堂くんはド派手な人たちと数人で、バス停にたむろしていた。



「そんな中で決まっちゃって」



「え?」



「主人の転勤」



「あぁ」



「この子も連れていきたいのは山々なんだけど、高校を転校させるのは可哀想だし、この子も行きたくないって言うし。主人について行くのはやめて私もここに残ろうか悩んでた時に、偶然佐和子ちゃんに会ってね」



「彼女と私は幼馴染みなのよ」



「・・・そうなの?」



「随分ご無沙汰してたけど、偶然駅前で会ってね、5時間も喋っちゃった」



「・・・へぇ」



「それで、ご主人の転勤の話を聞いて、うちで高嗣くん預かるわよって言ったわけ」



「へぇ・・・・え?!」



「うちならお兄ちゃんの部屋が空いてるし、あんたと高校も同じだし、一石二鳥でしょ?」



「何が?何が二鳥?」



「だってあなたは全然話し相手になってくれないじゃない?お兄ちゃんが独り暮らし始めてから、お母さん寂しかったの。だから高嗣くんがいてくれたら賑やかになるわぁって、すごく嬉しいのよ」




「私、ちゃんと話し相手になっ・・・



「俺と毎晩話そうね」



「やだぁ!嬉しいわぁ!」



少女のように喜んで、お母さんは私の肩をバンバンと叩く。



「・・・痛い」




肩も胃も、痛い。



学校生活では、絶対に交わることのない私たち。



ひとつ屋根の下での生活なんて、想像できるわけがなかった。

3→←1



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (114 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
358人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:マキ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2021年1月20日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。