41 2007年・11月(月城さん) ページ41
みっくんは早い段階で、誰でも知っている大手の会社の内定をもらっていた。
私はみんなが就活をとっくに終えた頃、ようやく就職先が決まった。
要領が悪くて、すぐに緊張してしまうから面接はいつもボロボロ。
落ち込む私に、“俺が面接官だったら、花織を即採用するけどな。だって可愛いじゃん“って、みっくんはいつもそう言ってくれた。
大学1年の夏から、途切れることなく、私たちの関係は続いている。
大学の正門へ続く銀杏並木は、落ち葉で埋め尽くされていた。
引退したサッカー部に顔を出すと言ったみっくんを、もう30分も待っている。
落ち葉を踏んで、カサカサと音を鳴らす。
乾いた空気と乾いた音。
だけど、秋晴れの空に、その全部が似合っていた。
「何してんだよ」
顔をあげた先には、みっくんの優しい眼差し。
いつだって、愛しいものを見つめるような眼差しを、みっくんは私に送ってくれる。
「・・・みっくん待ってた」
「遊んでんじゃん」
「え？」
「楽しいか？落ち葉鳴らして遊ぶの」
「・・・そんなんじゃない」
みっくんは少し笑って、私の手を大雑把に握る。
「風物詩だな」
「風物詩？」
「花織が落ち葉で遊び始めると、もうすぐ冬がくるんだなって思う」
出会ってから、4回目の落ち葉遊び。
みっくんが過ごす季節の中に、私がいる。
それだけのことが嬉しくて、それだけのことで泣きそうになる。
「みっくん」
「ん〜？」
「好きだよ」
「知ってる」
5回目の落ち葉の季節も、みっくんと過ごせるだろうか。
10回目は？
15回目は？
想像もつかない未来だけど、みっくんだけはいて欲しい。
私の側には、みっくんがいて欲しい。
「花織」
「ん？」
「肉食いに行こう」
「今から？」
「肉を食えば大抵のことは解決するからな」
「私別に悩んでないよ？」
「そうか？」
希望した会社は、全て落ちた。
4月から働くのは、大学で学んだことを少しも発揮できない会社だ。
「でも、食いに行こう。きっと元気になれるから」
みっくんが、私の手をギュッと握る。
強がりではなく、4月から、私は新しい場所でがんばれると思った。
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みき(プロフ) - マキさんご無沙汰してます。そして今頃すみません。全てのシーン私の抱いているみっくんでした。すごいなぁ〜。こんな素敵なお話を描けるマキさんは本当に優しい人なのだろう。私ではないけど彼女の私は沢山幸せをもらいました。さびしいです。ありがとうございました。 (2021年11月1日 15時) (
レス) @page49 id: e2d6b3aa5d (このIDを非表示/違反報告)
わわか(プロフ) - １つずつ終わっていくのがすごく寂しいです。マキさんの言葉、物語がとてもとても好きでした！他のメンバーの話も楽しみであり、終わってしまうのがさみしくもあり。最後までしっかり読ませていただきます！ (2021年5月28日 17時) (レス) id: 3db566fc35 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - ちい★さん» 北山くんが主人公のお話、終わっちゃいました。私の書く北山くんが、北山くんをお好きな皆様にも温かく受け入れてもらえて嬉しかったです！ありがとうございました(*^^*) (2021年5月23日 20時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - ちはるさん» 元は横尾さんがお好きだったんですね(*^^*)北山くんと横尾さんの関係性がとても好きなので、二人のお話が書けて私も楽しかったです！身長差もそうですけど、情熱と冷静みたいな対極な二人がいいなぁと思っています＼(^^)／ (2021年5月23日 20時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
ちい★(プロフ) - 終わっちゃって寂しいです…。マキさんの書くお話は苦しくなったり幸せになったり…リアルで大好きです！！！読み返してきます★ (2021年5月16日 11時) (レス) id: aba16733a8 (このIDを非表示/違反報告)
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