第五話『世話焼き』 ページ24
研修の一環で、もうすぐ、新入社員だけの模擬プレゼンの発表がある。
私と玉森くんは、横尾さんに何度もダメ出しをされながら、何とか資料を作り上げた。
「・・・緊張するな、発表」
「明後日なのに、もう緊張してんの?」
「玉森くんは緊張しないの?」
「その時になってみないとわかんない」
やっぱりいざとなると、玉森くんは頼もしい。
私は昔から、人前で話すことが苦手で、プレゼン当日のことを考えるだけで、キリキリと胃が痛む。
「栗原」
「ん?」
「もう、定時過ぎたし、今日は早く帰れば?」
「どうして?」
「調子悪そう」
「そんなことないよ」
玉森くんは私を一瞥すると、少し離れた席に座る横尾さんに「栗原が体調悪いそーです」って話しかけた。
「栗原!今すぐ帰れ」
横尾さんにそう言われると、もう帰るしかなくなる。
まだ少し仕事が残っていたけれど、後ろ髪を引かれる思いで退勤した。
会社を出て、張りつめていたいた緊張がほどけたのか、自分でも身体から血の気が引いていくのがわかった。
やばい。
貧血が起きて、倒れてしまうと思った私の身体は、長い腕に抱き止められた。
「だから言ったろ?」
意識の遠くの方で、玉森くんの声が聞こえた気がした。
そしてそこで、私の記憶は途切れた。
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マキ(プロフ) - かのんさん» うわーん( ;∀;)嬉しいです!ありふれたありきたりな話しか書けませんが、好きだと言ってもらえてすごーーく嬉しいです(*^^*) (2021年4月17日 13時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - もう、本当に本当に大好きです!マキさんの作品、本当に大好きです!! (2021年4月16日 19時) (レス) id: 46e739e0e0 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - eiennianatadakeさん» 最後まで読んでいただき、ありがとうございます(*^^*)私の書いたもので少しでも心が温まってくださったのなら、こんなに嬉しいことはありません(*^^*) (2021年4月15日 16時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
eiennianatadake(プロフ) - とても心が温かくなるようなお話でした!展開にハラハラしたり泣けちゃったり次回のお話も楽しみにしています! (2021年3月4日 3時) (レス) id: 69ceef1236 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - umiさん» このお話を好きになっていただけて嬉しいです!玉森くんのドラマが始まる前に書き終えたんですが、もうドラマも終盤ですね!時間が経つのが早くてびっくりしてます笑! (2021年3月3日 0時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
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