第五話『世話焼き』 ページ23
「横尾さんって、世話焼きだよな」
横尾さんの家からの帰り道、玉森くんはそう言った。
「そうだね。怖いけど、いい人だよね。こんなふうに、後輩の体調も気遣ってくれるし」
「お前、本気でそう思ってんの?」
「え?うん。思ってる」
「オメデタイ頭してんなぁ。何か横尾さんが気の毒になってきたよ」
「・・・どういう意味?」
「それくらい自分で考えてください。玉森くんからの宿題でーす」
昔から、玉森くんの言っていることは、私にはよくわからない。
どこまでが本気で、どこまでが冗談なのかも、私には全然わからない。
吉岡さんにはわかるんだろうか。
玉森くんの考えていることが、手に取るように。
本気と冗談の境目も。
恋人の吉岡さんになら、きっとそんなこと、簡単にわかってしまうんだろうな。
「玉森くん、私、こっちだから」
彼が進む方向の反対側を指差す私を見て、玉森も身体の向きを変える。
「送る」
「え?いいよ!一人で大丈夫」
「本当に人が住んでいいマンションなのか検証しに行くだけだよ」
そう言って玉森くんは、私の少し前を歩いていく。
夜道を一人で歩くことを心配してくれているのかもしれないし、私のマンションに、ちゃんと人が住めるのか検証しに行っているだけかもしれない。
玉森くんの本心なんて、私には少しもわからないけれど、夜道を一緒に歩いてくれて、私はとても心強かった。
926人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マキ(プロフ) - かのんさん» うわーん( ;∀;)嬉しいです!ありふれたありきたりな話しか書けませんが、好きだと言ってもらえてすごーーく嬉しいです(*^^*) (2021年4月17日 13時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - もう、本当に本当に大好きです!マキさんの作品、本当に大好きです!! (2021年4月16日 19時) (レス) id: 46e739e0e0 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - eiennianatadakeさん» 最後まで読んでいただき、ありがとうございます(*^^*)私の書いたもので少しでも心が温まってくださったのなら、こんなに嬉しいことはありません(*^^*) (2021年4月15日 16時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
eiennianatadake(プロフ) - とても心が温かくなるようなお話でした!展開にハラハラしたり泣けちゃったり次回のお話も楽しみにしています! (2021年3月4日 3時) (レス) id: 69ceef1236 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - umiさん» このお話を好きになっていただけて嬉しいです!玉森くんのドラマが始まる前に書き終えたんですが、もうドラマも終盤ですね!時間が経つのが早くてびっくりしてます笑! (2021年3月3日 0時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ