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49 (二階堂くん) ページ49

「・・誰?」







恐る恐るドアを開けた先には、迷子みたいに不安げな顔をしたAがいた。









「A?!・・・お前、何してんだよ」








「ごめんなさい!こんなに朝はや・・









「何してんだよ!帰れ!お前はここにいちゃダメだろ?何でこんなとこにいるんだよ!」







「・・・二階堂さん」









「・・何だよ」









「・・・そんなに強く抱きしめられたら、帰れない」









ありったけの力で、壊れてしまいそうなほどの力で、俺はAを抱きしめていた。









「・・帰らないでよ」






「・・・うん」







「側にいて?」







「・・・うん」







「・・お前が好きだ」






俺は、君のことを、神様からのプレゼントだと思ったんだ。









大切にするから








俺の生涯をかけて大事にするから








どうか、俺の隣で笑っていて欲しい。








二人で一緒に年を重ねたい。







二人で一緒に幸せになりたい。








ずっと、二人で・・・






「ワン!」





「あ、コラっっ、桃!」






「桃?このワンちゃん桃っていうの?」







Aが桃を抱き上げて、からかうように俺を見る。






「桃じゃない」




「桃ちゃんでしょ?」





「違うって」






「私につけてくれた名前とおんなじだ」






Aが嬉しそうに笑って、桃を優しく抱きしめる。







結局最後はカッコ悪い、いつも通りの俺。







「A」





「ん?」






「もう一回抱きしめたいんだけど」






「・・・桃ちゃん、つぶれちゃうよ?」






Aが抱きかかえていた桃を受け取って、そっと床に下ろす。






「ちょっとだけ、向こうむいてろよ?」







桃にそう言いつけて、俺はAを抱きしめた。






こんなに誰かを好きになれるんだ。







限界なんてないくらい。







空を突き抜けちゃうくらい。








こんなにも、誰かを愛おしいと思えるんだ。







「おじいちゃんが言ってたの。生きるってことは、偶然と奇跡の連続だって。どうして私と二階堂さんは出逢ったんだろうねって」








「そんなの簡単じゃん」






「え?」






「出逢うために生まれたからでしょ?」






「・・・そうなの?」







「そうだよ」







生まれたことに意味があるなら、俺は君に出逢ったことに、その意味を見つけたんだ。





運命論を今なら信じる。





俺、意外とロマンチストなんだ。

いくつかの君の記憶→←48 (二階堂くん)



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れいな - 初めましてこんにちは。このお話が大好きで何度か読ませていただいております。そのたびに大号泣しています。こんな素敵な作品に出会わせてくださってありがとうございます。 (2020年7月4日 4時) (レス) id: ac9fdaad24 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - naoさん» はじめまして。コメントの通知が来ておらず、お返事が遅くなってすみません(>_<)naoさんは二階堂くんがお好きなんですね!私の書いたもので、少しでも楽しんでいただけたのなら嬉しいです(*^-^*)書いててよかったです。コメント、ありがとうございます(^-^) (2019年8月26日 13時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
nao(プロフ) - 初めまして。二階堂高嗣で検索して、このス素敵な物語に出会いました。もう最初から最後まで、胸がギューっとなりながら一気に読み終えました。今まで読んだ作品の中で、1番好きです。本当に感動しました!大好きな二階堂くんがしあわせになってくれて嬉しいです! (2019年8月7日 3時) (レス) id: 98957e13af (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - くまのこさん» 意味がわからないくらい...なんて、そんなに泣いてくださって感激です(;∀;)お気に入り作者に登録していただいて、重ね重ねありがとうございます★ (2018年8月8日 19時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - にかあゆさん» 泣いてくださったんですね!うわぁぁ、ありがとうございます(;∀;)そして、全作品読んでくださったなんて嬉しいです! (2018年8月8日 19時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マキ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年3月8日 15時

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