38 (北山くん) ページ38
それは、とても明るい告別式だった。
『明るい』というと不謹慎な気がするけど、みんなが故人への愛情に溢れていて、穏やかで暖かな空気が流れていた。
「A」
どれくらい泣いたのかわからないほど、Aの目は腫れていた。
「大丈夫か?」
"・・うん"
「ちゃんとお別れできたの?」
"できた"
うつ向くAの髪を撫でる。
明日で、約束の2週間だ。
「本当に明日二階堂さんちを出るの?それで本当に大丈夫か?」
"二階堂さんと約束したから"
「・・・でも、おじいさんを亡くして、二階堂さんだって・・
"二階堂さんが言ったの。約束通り帰れって"
寂しそうにAが笑う。
どうしてだろう、今までのどの瞬間より、二階堂さんに嫉妬した。
Aにこんな表情をさせる二階堂さんに、脅威のようなものを感じてしまって、そんな自分が嫌になる。
「・・・じゃあ、明日迎えに来るよ?」
"はい"
これで、本当にAを取り戻したことになるんだろうか。
Aの気持ちは、今、どこをさ迷っているんだろう。
俺が取り戻したいAは、3月3日以前の、二階堂さんを知らないAだってことに、今、気づいた。
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れいな - 初めましてこんにちは。このお話が大好きで何度か読ませていただいております。そのたびに大号泣しています。こんな素敵な作品に出会わせてくださってありがとうございます。 (2020年7月4日 4時) (レス) id: ac9fdaad24 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - naoさん» はじめまして。コメントの通知が来ておらず、お返事が遅くなってすみません(>_<)naoさんは二階堂くんがお好きなんですね!私の書いたもので、少しでも楽しんでいただけたのなら嬉しいです(*^-^*)書いててよかったです。コメント、ありがとうございます(^-^) (2019年8月26日 13時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
nao(プロフ) - 初めまして。二階堂高嗣で検索して、このス素敵な物語に出会いました。もう最初から最後まで、胸がギューっとなりながら一気に読み終えました。今まで読んだ作品の中で、1番好きです。本当に感動しました!大好きな二階堂くんがしあわせになってくれて嬉しいです! (2019年8月7日 3時) (レス) id: 98957e13af (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - くまのこさん» 意味がわからないくらい...なんて、そんなに泣いてくださって感激です(;∀;)お気に入り作者に登録していただいて、重ね重ねありがとうございます★ (2018年8月8日 19時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - にかあゆさん» 泣いてくださったんですね!うわぁぁ、ありがとうございます(;∀;)そして、全作品読んでくださったなんて嬉しいです! (2018年8月8日 19時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
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