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31 (北山くん) ページ31

約束の時間ギリギリに、Aは息を切らしてやってきた。




「そんなに走らなくていいのに」





呼吸を整えながら、Aはゆっくり首を振る。




"もう、あんまり心配かけたくないから"






「え?」





"私がいなくなった時、すごく心配したでしょ?"





「A?」






"1分でも約束の時間に遅れたら、その時の気持ちを思いださせちゃうから"








少し、頬が紅い。









一生懸命走ってきてくれた。







俺に心配をかけないように。





俺を悲しませないように。









身体の全部を両手で押さえても、どうしようもなく溢れ出してしまう。









「好きだよ」







俺を見上げるAの瞳が揺れる。







「Aが好きだよ」









また、君に恋をした。








今の君に、恋をした。









君も、恋をしてくれるだろうか。








また、俺と、二度目の恋を。








「ほら」






差し出した手を、Aは怖々と握る。







「10数えたら、離していいから」









"北山さん"







「ん?」






"いつも、手を繋いで歩いてた?"







「うん」







"・・・じゃあ、このまま歩く"








10数えても繋がれたままの手。









もう、二度と離したくない。









「抱きしめたら怒る?」








どうしていいかわからずに、Aは困ったように眉を下げる。






「嘘」









Aの手を引いて、前に進む。








また、君を抱きしめられたら、その時俺は、泣いてしまうかもしれない。







強く強く抱きしめるから、強く強く、抱きしめ返してほしい。







同じ強さで、同じ気持ちの分量で、君と抱き合っていたい。

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れいな - 初めましてこんにちは。このお話が大好きで何度か読ませていただいております。そのたびに大号泣しています。こんな素敵な作品に出会わせてくださってありがとうございます。 (2020年7月4日 4時) (レス) id: ac9fdaad24 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - naoさん» はじめまして。コメントの通知が来ておらず、お返事が遅くなってすみません(>_<)naoさんは二階堂くんがお好きなんですね!私の書いたもので、少しでも楽しんでいただけたのなら嬉しいです(*^-^*)書いててよかったです。コメント、ありがとうございます(^-^) (2019年8月26日 13時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
nao(プロフ) - 初めまして。二階堂高嗣で検索して、このス素敵な物語に出会いました。もう最初から最後まで、胸がギューっとなりながら一気に読み終えました。今まで読んだ作品の中で、1番好きです。本当に感動しました!大好きな二階堂くんがしあわせになってくれて嬉しいです! (2019年8月7日 3時) (レス) id: 98957e13af (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - くまのこさん» 意味がわからないくらい...なんて、そんなに泣いてくださって感激です(;∀;)お気に入り作者に登録していただいて、重ね重ねありがとうございます★ (2018年8月8日 19時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - にかあゆさん» 泣いてくださったんですね!うわぁぁ、ありがとうございます(;∀;)そして、全作品読んでくださったなんて嬉しいです! (2018年8月8日 19時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マキ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年3月8日 15時

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