23 (千賀くん) ページ23
Aちゃんの様子から、今は家に戻るべきではないと判断した。
何にも思い出すことができない今、Aちゃんの精神的支柱はニカで、ニカから離れてしまうと、今よりもっと気持ちは不安定になると思われた。
「Aちゃん、もう少し、ニカと一緒に暮らそうか」
コクンと頷く彼女は、まるで迷子になった子どもみたいだった。
「・・・それで、提案なんだけど、君の恋人に会ってみない?」
"え?"
「週に1回でもいい。会ったり、話したりしてるうちに、何か思い出せるかもしれない」
"・・・はい"
Aちゃんもわかってる。
ずっとここにはいられないこと。
いつかは帰らなければならないこと。
いつかは、ニカの優しい掌を、離さなければならないことも。
「大丈夫。お前が好きだった人だろ?だから、絶対大丈夫」
ニカがAちゃんにそう言うと、Aちゃんも安心したように頷いた。
何だかその光景は、とても悲しいものに思えた。
無償の愛は、何も得られないかもしれないけれど、何も残らないわけじゃない。
ニカにはきっと残るだろう。
彼女との日常の記憶と、彼女への想い。
そして、伝えることのできなかった『好き』という言葉が、ニカのなかに、くっきりと残ってしまうだろう。
786人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
れいな - 初めましてこんにちは。このお話が大好きで何度か読ませていただいております。そのたびに大号泣しています。こんな素敵な作品に出会わせてくださってありがとうございます。 (2020年7月4日 4時) (レス) id: ac9fdaad24 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - naoさん» はじめまして。コメントの通知が来ておらず、お返事が遅くなってすみません(>_<)naoさんは二階堂くんがお好きなんですね!私の書いたもので、少しでも楽しんでいただけたのなら嬉しいです(*^-^*)書いててよかったです。コメント、ありがとうございます(^-^) (2019年8月26日 13時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
nao(プロフ) - 初めまして。二階堂高嗣で検索して、このス素敵な物語に出会いました。もう最初から最後まで、胸がギューっとなりながら一気に読み終えました。今まで読んだ作品の中で、1番好きです。本当に感動しました!大好きな二階堂くんがしあわせになってくれて嬉しいです! (2019年8月7日 3時) (レス) id: 98957e13af (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - くまのこさん» 意味がわからないくらい...なんて、そんなに泣いてくださって感激です(;∀;)お気に入り作者に登録していただいて、重ね重ねありがとうございます★ (2018年8月8日 19時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - にかあゆさん» 泣いてくださったんですね!うわぁぁ、ありがとうございます(;∀;)そして、全作品読んでくださったなんて嬉しいです! (2018年8月8日 19時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ