16 (二階堂くん) ページ16
じいちゃんと桃は寝たというのに、千賀は全然帰ろうとしなかった。
千賀は、勝手にうちに常備している高級ジンジャーエールを、ちびちびと、まるでお酒みたいに飲み続けている。
「千賀」
「ん?」
「帰んないの?俺、眠いんだけど」
「ニカと二人きりになれるの待ってたんだ」
「え?!」
思わず仰け反る俺に、千賀は「バカじゃないの?」って、呆れた声を出した。
「ニカ」
「何だよ」
「おじいちゃんのことなんだけど」
「じいちゃん?」
「おじいちゃん、何か変わったことない?」
「変わってんのはいつものことだろ」
「・・・そうじゃなくて、例えば・・薬を飲んでるとか」
「え?何で?」
「時々おじいちゃん、ふらーって俺の病院来るんだけど、違和感っていうか・・・」
「違和感?」
「俺のこと、褒めたんだ」
「褒めるくらいすんだろ」
「初めて!あんなおじいちゃん、初めてだった」
千賀はとても真剣で、茶化すことなんてできなかった。
「・・・気を付けて見とくよ」
「そうして?」
「じゃあな」って言って、千賀は帰っていく。
郵便物や文房具が雑多に入った引き出しを開ける。
次の引き出し。
次の引き出し。
戸棚。
クローゼット。
「何してんだ」
じいちゃんの声に、はっとする。
「血相変えて、何してんだ」
「・・・別に」
言われてみれば、少し、痩せたかもしれない。
疲れている日も、増えたかもしれない。
「・・じいちゃん・・」
「何だ」
「・・・・大丈夫か?身体」
「何をトンチンカンなこと言ってんだ。荒らしたとこ、片付けとけよ?桃ちゃんがびっくりする」
「・・・わかったよ」
じいちゃんが、自分の部屋に帰っていく。
背中は、とても頼りなかった。
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れいな - 初めましてこんにちは。このお話が大好きで何度か読ませていただいております。そのたびに大号泣しています。こんな素敵な作品に出会わせてくださってありがとうございます。 (2020年7月4日 4時) (レス) id: ac9fdaad24 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - naoさん» はじめまして。コメントの通知が来ておらず、お返事が遅くなってすみません(>_<)naoさんは二階堂くんがお好きなんですね!私の書いたもので、少しでも楽しんでいただけたのなら嬉しいです(*^-^*)書いててよかったです。コメント、ありがとうございます(^-^) (2019年8月26日 13時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
nao(プロフ) - 初めまして。二階堂高嗣で検索して、このス素敵な物語に出会いました。もう最初から最後まで、胸がギューっとなりながら一気に読み終えました。今まで読んだ作品の中で、1番好きです。本当に感動しました!大好きな二階堂くんがしあわせになってくれて嬉しいです! (2019年8月7日 3時) (レス) id: 98957e13af (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - くまのこさん» 意味がわからないくらい...なんて、そんなに泣いてくださって感激です(;∀;)お気に入り作者に登録していただいて、重ね重ねありがとうございます★ (2018年8月8日 19時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - にかあゆさん» 泣いてくださったんですね!うわぁぁ、ありがとうございます(;∀;)そして、全作品読んでくださったなんて嬉しいです! (2018年8月8日 19時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
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