15 (千賀くん) ページ15
なかむら屋のみたらし団子を楽しみにやってきたのに、二階堂家の雰囲気は最悪だった。
ニカと桃ちゃんがダイニングテーブルに対面に座っていて、ニカは物凄く怒っていた。
「今まで何してたんだ!散歩に何時間かけてんだよ!」
"ごめんなさい"
「謝って欲しいわけじゃなくて、何してたのか聞いてんだ!」
俺は一人優雅に、ソファで新聞を読んでいるおじいちゃんに声をかける。
「何事?」
「桃ちゃんの帰りが遅かったのが気にくわないんだとよ」
「気にくわないんじゃなくて、心配したって話だろ!」
ニカが食いぎみに訂正して、おじいちゃんは呆れたように溜め息をついた。
あーあ。
そんな聞き方したんじゃ、桃ちゃんは萎縮して何にも話せなくなってしまう。
「代わって」
ニカを無理矢理端においやると、今度は俺が桃ちゃんと対面した。
「桃ちゃん、今まで公園にいたの?」
"はい"
「公園に着いたのは何時だった?」
"15時くらい"
「今は18時か・・3時間、公園にいたの?」
"はい"
「あの公園じゃ、そんなに暇潰しできないよね?」
"・・・なみだ"
「え?」
桃ちゃんは何かを言いかけた後、ホワイトボードを取り出した。
---泣いている人がいて、泣き止むまで隣にいました
「泣いてる人?」
----悲しそうで、側を離れられなかった。
「女の人?」
フルフルと首を振る桃ちゃんに、ニカは近寄ってしゃがみ込むと、桃ちゃんより低い位置から彼女を見上げた。
「ただ・・隣に座ってただけ?変なこと言われたりされたりしてないよな?」
"はい"
「大きな声出してごめん」
"・・私も、ごめんなさい"
ニカが桃ちゃんの頭に手をのせる。
無事に帰ってきてよかったって、自分に言い聞かせているみたいだった。
「説教は終わりか?早く団子食べよう」
おじいちゃんが新聞を閉じて立ち上がる。
俺もそれに便乗して、わざとらしくはしゃいだ声を出した。
「俺みたらし〜」
桃ちゃんがあけた箱の中には、なかむら屋で売っている、全種類のお団子たち。
「桃ちゃん、公園で何の団子食べた?」
"きな粉"
そう答えた桃ちゃんは、ニカの方を振り向く。
"お薦めって言ったから"
「うまかっただろ?」
ニカが嬉しそうに笑う。
"はい"
何だか二人は、家族みたいに見えた。
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れいな - 初めましてこんにちは。このお話が大好きで何度か読ませていただいております。そのたびに大号泣しています。こんな素敵な作品に出会わせてくださってありがとうございます。 (2020年7月4日 4時) (レス) id: ac9fdaad24 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - naoさん» はじめまして。コメントの通知が来ておらず、お返事が遅くなってすみません(>_<)naoさんは二階堂くんがお好きなんですね!私の書いたもので、少しでも楽しんでいただけたのなら嬉しいです(*^-^*)書いててよかったです。コメント、ありがとうございます(^-^) (2019年8月26日 13時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
nao(プロフ) - 初めまして。二階堂高嗣で検索して、このス素敵な物語に出会いました。もう最初から最後まで、胸がギューっとなりながら一気に読み終えました。今まで読んだ作品の中で、1番好きです。本当に感動しました!大好きな二階堂くんがしあわせになってくれて嬉しいです! (2019年8月7日 3時) (レス) id: 98957e13af (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - くまのこさん» 意味がわからないくらい...なんて、そんなに泣いてくださって感激です(;∀;)お気に入り作者に登録していただいて、重ね重ねありがとうございます★ (2018年8月8日 19時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - にかあゆさん» 泣いてくださったんですね!うわぁぁ、ありがとうございます(;∀;)そして、全作品読んでくださったなんて嬉しいです! (2018年8月8日 19時) (レス) id: a3dcba5f46 (このIDを非表示/違反報告)
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