【マギ】秀外慧中かくあれかし【幼女戦記】

第十九幕　航空魔導増強大隊副長、戦死する ページ22

さて皆様、航空魔導増強大隊副長である貞行中尉を覚えているだろうか？

具体的には第十三幕のみで出ていたはず。忘れてたら読み直してみてくれると嬉しい。

今回突然彼の話が出てきたのは、葉月中佐からの報告案件によるものであった。

「航空魔導増強大隊副長が、貞行が黒いジンに討たれました」

そう報告が来た時は何かの笑えない冗談かと思った。

「優秀な人材は総じてかけがえの無いものだ。確認を怠ってはいないな」

問いかけたのはいたって普通の報告確認。だが、葉月中佐はそれが癪に触ったのだろう、苦言を零しそうに顔を歪めた。


【マグノシュタット戦における報告】

まず、第一にマグノシュタット戦に置いて勝利国はないとする。
アル・サーメンが蒔いた依代とよばれる黒ルフで構成された球のせいで、戦争が中断になったことによるものとする。

航空魔導増強では12名が戦死、8名が復帰不可の重傷、2名が戦線離脱の中傷、10名が戦闘持続可能の軽傷、無傷者0の悲惨な結果であった。

一番の痛手はやはり、少数精鋭の航空魔導師が大隊から20名も脱落したことである。

黒いジンは再生能力と思しきものを有し、果敢に討伐方法の検証に赴いた述べ小隊のが突撃するも、叩き落とされ防御術式ごと潰された。

彼らが光学式欺瞞用術式を展開していたことから、視覚以外の方法で我々を探知できることが確認され、重傷８名の自爆寸前の囮作戦により、軽傷者は離脱。

重傷８名を保護に向かったところ、至近距離で爆破術式を展開したことにより、腕は千切れ足は折れ、肺も煙を吸い込み過ぎたせいでボロボロ、全身大火傷で生きているのが不思議なものが３名発見された。1名が保護された直後死亡。２名は苦しみながら、声が出ずに空気の音だけが出ていた。出血多量は、皮膚が焼けた事が不幸なことに止血となったようだった。

ほか5名は首が千切れる、出血多量、ショック死などで息を引き取っていた。

煌で葬儀をするにも、ボロボロの遺体は触っただけで崩れ落ちる有様で、戦死した場で火葬を行なった。

重傷生還者は声帯も肺も焼け、喋る事が困難であったが、演算宝珠の記録から数分の音声が残っていた。

『コレは、この声は何方かに届いているのでしょうか、ならばお伝えしてほしいです。突撃前にこのようなことを言って悪いとは思うのですが、恐らく私は死ぬ。ただ、元帥様に一言、あなたの下で戦えて幸せでした、と。葉月中佐殿にも、不真面目な部下ですみませんでした』

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