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1991年4月。
蘭と竜胆が幼稚園に入園した。
ユリは1年上だが、
一緒に遊ぼうと約束をしていたため、
2人は早速部屋へと向かう。
ユリは友達と一緒に、積み木で遊んでいるところだった。
蘭と竜胆が声をかけても、ユリの周りは騒がしく、
声が聞こえないようだった。
「あとはやねだね」
「だれか△のつみきもってる?」
「ぼくもってるよ!」
「じゃあサトシくんがおいて!」
最後の仕上げをしようとしたその時…
ガシャン
積み木が崩れるのも気にせず、蘭はユリの腕を掴んだ。
「…あっちいこ」
蘭の力には敵わず、ユリは部屋の隅までやってきた。
「らんちゃん!
みんなにあやまって!」
「は?」
「せっかくみんなでおしろつくってたのに!」
「おまえがむしするからだろ」
「むしなんてしてないでしょ!」
「…ほかのこと、なかよくしないで」
蘭の言葉に、ユリははにかむ。
「らんちゃん…もしかしてやきもち?」
蘭は気まずげに下を向き、竜胆は2人をオロオロと見ている。
「しんぱいしなくても、
らんちゃんとりんちゃんが
いちばんのおともだちだよ」
「いちばん」という言葉に、
蘭の怒りが引いていくのが分かった。
――――――――――――――――――――――――――
ユリが一足先に小学校に上がってからも、
3人はいつも一緒に過ごしていた。
学校の校則でおさげにし始めたユリを真似て、
蘭もこの頃から三つ編みをするようになった。
が、1994年。
蘭と竜胆の両親が離婚し、
2人は母親に連れられて引っ越すことになった。
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作者名:あたそ | 作成日時:2023年3月20日 23時