怪我3 ページ3
「安心しろ。お前以外に爆発に巻き込まれた奴はいない」
優しい声なのに言葉の中に怒りを感じるぞ。
「…よかったです」
「爆発寸前に退避の指示を出した大神のおかげだ。感謝している」
「安室さんが私にお礼いうなんて空からパンダでも降るんですかね」
「馬鹿にしてるだろ」
「そんなまさか」
にやっと自分で笑ってしまった。
この気の抜けたやり取りも久しいな。
彼はどんな顔をしているのだろうか。
「冗談は置いておいて、残党がお前を探しているからしばらくはこのセーフハウスで養生だ」
置いておくな。と思いつつもその後の言葉に引っかかった。
「え?他に人は?」
「いない」
「…一組の!!!男女が!!!一つ!!屋根の下だと!?なぜだ!!!」
一拍の間の後に叫んだ。
めっちゃ傷痛い。息するのですらしんどいのに!!思わず叫んだ。
「大声を出すな。傷に響くだろ」
「安室さん傷あるんですか!?」
「お前だよ」
と彼は言って口を何かでふさがれた。
手か!!
何だこの意図しない目隠しのせいで!!何も見えない!!
この状況は私が暴れたら終わりの奴じゃないか。
視覚が奪われ、消毒液の匂いによって鼻が利かないのと、片耳が良く聞こえていないという五感のうちの3つが不自由。
この状況で安室さん、いや、もう組織解体したなら降谷さんでいいのか?なんでもいいや降谷さんがどうアクションを起こすのか分からないなんて!!!
「いつまでも安室と呼ぶな」
「御意」
耳元で言うなんて卑怯だと思わないのかね。
このイケメンボイスが。
「飲むものを持ってくる。じっとしていろ」
笑った気配の後、彼の足音は遠くに行った。
音からしてここはカーペットの敷いてある部屋なのだろう。
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作者名:蘭兎 | 作成日時:2020年4月14日 15時