怪我４ ページ4
なかなか頭が回らない。
そんな中で体の痛む具合から傷の範囲が広いと実感した。
左の頬にもガーゼが張ってあるのだろう、さっき触れられた時に違和感があった。
「飲むものを持ってきた。すこし上体を起こすぞ」
と一言断ってから傷に触れないように起き上がらせてくれた。
背中にクッションを入れてくれるオプション付きだ。
なんだこの紳士。
「ストローを口元に触れさせるぞ」
つまり、口を開けろと。
喉も乾いていたので素直に口を軽くあける。
「物分かりがいいな」
「何ですかこの羞恥プレイは」
「俺は何とも思ってないから安心して飲め」
「〜〜〜っ！！！貴方なんて嫌いだ」
“何とも思っていない”という言葉に少しショックを受ける。
ストローから吸い上げるとスポーツ飲料だったようで、甘みが口内に広がった。
「まる二日寝込んでいたんだ。腹は減ってないか？食事は摂れそうか？」
「あぁ、そうだったんですね。軽い物なら少し…」
片手を持たれて自分の手に冷たくてかたい何かに手が触れたと思うと、「コップだ。少し待ってろ」と言って部屋を出て行った気配がした。
同じ組織に私の方が先に潜入していたのだが、とある事情によって避けに避けておよそ1年！！彼に合わせる顔がないよ！！
気まずいんだよ！！！
どんな顔してるのか見えないし！！接し方が分からねぇよ！！
コップを持っていた手を自分の口元にもっていく。
顔が熱い。
少しでも冷やそうとコップを頬にあてるとその冷たさが心地よい。
額に空いた手を当てるといつもより体温が高いような気がした。
首元にも手を当てるがやはり熱い。
熱か？
「まだ熱っぽいだろう。サンドイッチを作ってきた」
「！？気配を消さないでください」
急に聞こえた声にビクッとする。
やっぱり熱あるのか。
「あ。悪いな。癖がついたようだ」
「あの、」
「口元にサンドイッチがある。口、開けて」
「いただきます。あ、あの！…むぐっ」
言葉をさえぎるように言葉を被せたり、サンドイッチでふさいだり。
話しを聞け！！！
聞いてくれ！！
サンドイッチ美味しいです！！！とても！
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作者名：蘭兎 | 作成日時：2020年4月14日 15時
