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9日目 ページ9

先輩と付き合ってから1ヶ月が経った。
友人からはここまで続くと思って無かったと言われた。
それに対してなんでよって返したけど、実際私もそう思ってた。

あの日からキスはしてない。
私下手だったのかなと少し落ち込んでいた時、先輩から誘われたデート。

今週は暑いから家でデートしようという内容だった。
家に誘われたのは2回目。
1回目は逃げてしまったけれど、今なら良いかなって覚悟を決めていいですよと連絡を返した。









デート当日。
やっと肩につくほどになった髪を外ハネにしてメイクはオレンジとほんのり赤を使ったメイク。
それに合うような服を選んで、今日は爽やかな香水を選んだ。

いつも通り待ち合わせ場所に着くのは私の方が先。
そこも先輩らしくて少し笑ってしまう。

キョロキョロと周りを見ていれば、目立つ先輩の姿。



『蘭先輩…!』



走って近づけばいつも変わらない瞳が少し開かれる。



『ふふっ、先輩…びっくりした?』

「…びっくりした〜

すげぇ、可愛い」



するりと優しく撫でられた事に驚くのは私の番だった。



『は、早く行きましょ…!』

「ん」



いつもは繋いでくれるはずの手を今日は差し出されるだけ。
不思議に思いながらも恐る恐る握れば嬉しそうに微笑んでくれた。
なんだかいつもより優しい先輩に戸惑った。









先輩のお家に着いた。



『はわぁ…』



先輩のお家はタワマンと呼ばれるもので、しかも先輩はそこのかなり最上階に暮らしているそうで。

私は終始目を輝かせてばかりだった。

先輩と一緒にエレベーターに乗り込む。
ほとんど揺れがないままポーンという音が鳴って扉が開く。

先輩はするりと私と繋いでいた手を離してポケットからキーを出して扉を開けてくれた。
スマートなその動きに見惚れたものの慌てて中へと入る。



『っ…わぁ』



とても広いお部屋。
大きな窓から見える景色は想像を絶する物だった。



「楽しそうだなぁ〜?」

『すごいです!蘭先輩!!』



くるりと振り返って満面の笑みで答えた。



「ふっ…」



優しく笑う先輩は私を見ているはずなのに…
どこか遠くを見ている気がした。

それに気づいてはいけない気がして目を逸らした。

不意にポンッと頭の上に置かれる手。
その温かさに縋りたくなって…その手を取って自分の頬に当てる。

チラリと先輩を見ると相変わらずその瞳は変わらなくてそのまま顔が近づいて来る。

私はそっと…目を閉じた。

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7℃(プロフ) - ありやけさんさん» え、本当ですか…では頑張って更新します、、 (2021年11月12日 20時) (レス) id: a3f6717434 (このIDを非表示/違反報告)
ありやけさん(プロフ) - すきすぎる… (2021年11月6日 21時) (レス) @page15 id: 5965475948 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:7℃ | 作成日時:2021年10月14日 8時

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