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あれからしばらくの沈黙が続いた後、
私は椅子から立ち上がって部屋にある黒板に向かった
一番手前に座らせた入間君に、まるで授業のように話し始めた
『入間君、今から私の秘密を言うね。』
そういった私を彼は心底驚いたように見る
これから何を言われるのか、なぜ急にその話になったのか
彼にはまったく理解できていないようだ
私はチョークをもって文字を書いた
その文字を見て、入間君が反応する
イ「…自己犠牲、?」
黒板に書いてある文字をそのまま音読する彼
そんな彼に、違うよ、と訂正を入れた
『確かに、普通に読んだらそう読むね
でもこれは、正しくは
そういった私に、いまだ「?」を浮かべている入間君
それはそうだろう、彼からしたら
急に意味の分からない言葉の授業が始まったのだから
『これはね、私の家系能力だよ』
イ「家系、能力、、、」
そう、私の家系能力、
これは、私が人間だということ以外に
生徒達には公表していない一部教師のみぞ知る秘密の情報
まあ仲のいい先生には、割と公表してるんだけども
『どんな魔術も家系能力も、一度認知し理解した範囲で、
自分の魔力や集中力が続くまで行使できる』
イ「す、すごい、、、。」
『…そう思う?でも実は結構厄介なんだよねえ』
きらきらと目を輝かせながら私を見る彼にそう言い放つ
私は見本に、緑色に輝く弓矢を構えて見せた
その瞬間に目を見開いて、彼は息をのむ
私はその弓矢を放つことなく、そのまま能力を切った
『今のは、とある先生の家系能力を真似したんだ
だけど、これをもし打ったら私はしばらく倒れるかな』
「え!?倒れ…!?」
『うん、ぶっ倒れるよ間違いなく。
元の能力がとんでもない能力だしね』
そう言って笑うと、彼は慌てたように私を見る
倒れるといったからか、過剰に心配させてしまったようだ
大丈夫だよ、と彼を再び席に着かせた
『使う能力が一日一度きりだったり、条件付きだったり、
そういうものを真似すると、自己犠牲で身を削って魔力を消費するんだ』
だからこれを使うのは要注意なんだ、と
私の強さであり弱みでもあるその能力を見せた
(それ以外にも、所詮は真似事だから、
見本となった能力の以上の力を出すことはできない、とかあるんだけど)
私は静かに彼に微笑んだ
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作者名:らむねるねるね | 作成日時:2023年1月25日 22時