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ニヤリと唇の端を吊り上げながら、上目遣いで続ける。
「将来、オレの子を産んでもらう時のために決まってん……ぶへっ!?」
言葉をすべて言い終わる前に、私の裏拳が炸裂する。
「痛っでぇ、何すんだよ!?」
「うるさい黙れ変態破廉恥ドスケベ野郎。あっち行って」
「冗談だって!……半分」
半分は本気なのかよ。本気でドン引き。冷たい目で見つめれば、もごもごと居心地悪そうに口を動かす万次郎。
「別に…今から子供作るとか、そういうんじゃなくて、だから……まあ、ゆくゆくは、そういうカンケ―になりてぇとか、思ってなくも…ねぇケド、」
よく聞き取れなかったけど、よくないことを言っているのだけはハッキリ分かった。
「サヨナラ」
「何でそうなるんだよ!?」
背を向けてスタスタ歩き出せば、焦ったように追いかけて来る万次郎。
「なぁ、ゴメンって」
「……」
「俺はAのこと好きなんだよ、三ツ谷よりずっと」
その後もちょこまかと鬱陶しかったので、適度なところで許してあげました。私って寛大。
男はみんな助平だ、と誰かが主張してたっけ。そんな謎理論、女にとってはどうでもいいんだよ。
「お参りしたいけど、人込んでるしなー」
神社に来たんだから、せっかくだからお賽銭入れて、お参りしたいよなー。でもあの行列に並ぶ勇気はさすがに無い。どうしようか、うーん、と悩んでいた時、
「A、」
ふいに名前を呼ばれて、弾かれるように振り向いた。
「ん?なに――――…」
何? と質問しようとして、そのまま腰を引き寄せられる。ぇ、と掠れたような声が洩れて、その吐息ごと飲み込むように、唇が、柔らかい何かに塞がれる。
万次郎の顔が、ありえないぐらい近くにあって、息が止まる。薄く閉じられた瞼がピクリと動き、「ん…」と小さな声が、彼の喉から洩れる。
「何を…してっ…」
やっとの思いで彼を突飛ばせば、気にするそぶりもなく、万次郎はへにゃりと眉を下げる。
「ハハ、やっぱ不意打ちの方が成功すンだな。…思ってたより、柔らかかった」
「意味わかんない、何で急にこんなこと、」
「新年早々夢一個叶うとか、今年はいい年になりそうな気しかしねぇ」
全然答えになってない。私としては、羞恥よりも、驚愕の方が大きくて。
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ま - え、これって駿台模試の英文ですか!? (2022年5月22日 13時) (レス) @page15 id: 8b077b9bca (このIDを非表示/違反報告)
わたし - まって、私坂本なんだけどw (2022年5月11日 17時) (レス) @page6 id: 4ecae0ff80 (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - シュウさん» そうなんですよ…時間があればいろんな人のエンドつくりたいとか思うんですけど、話数的に厳しかったり…(´・ω・`)楽しみにしてくださってありがとうございます! (2021年9月28日 7時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
シュウ(プロフ) - 夢花さん» この作品いつも楽しみにしています。三ツ谷も千冬もマイキーも選べない!各々のエンド作って欲しいです(土下座(願望なだけなのでご無理はなさらなず) (2021年9月28日 4時) (レス) id: ad2f2b2a8f (このIDを非表示/違反報告)
夢花(プロフ) - 千冬…………まぁ、可愛いければなんでもいいよね!!!うん!!! (2021年9月24日 18時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年9月3日 9時