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放課後、図書館で本を詠んでいた時のこと。
「ここはこうで、この直線との交点を求めれば……」
「なるほど、ありがとう!隆くん」
長机で、隆がひよりちゃんに数学を教えているところを目撃した。
2次関数でもやってんのかなーと、ぼんやり眺めていたら、顔を上げた隆とばっちり目が合って。その唇がニンマリと吊り上がる。
唇がパクパクと動く。ん?なになに…
や い て ん の ?
違うわ。ボーっと見てただけだわ。そして謎に読唇術を習得してしまった私。無駄なスキルがまたもや増えてしまった。
べ つ に ?
短くそう返した後、また本に顔を戻す。視界の端に不満そうな顔が見えたけど、私は知らん。知らんのだ。
「Aー、いるー?いたら手ぇ挙げて、はーい」
突如として静かな図書室に乱入してきた男。…うん、万次郎しかいないね。空気読めない男ダントツナンバーワンですから。
ってか何であんたが手を挙げるんだよ。
「あ、Aいた。…ねーねー腹減ったし、なんか甘いもん食いに行こー」
「いつもアンタは唐突やな。ドラケン君は?」
「エマとデート」
「ああ…(察し)」
あそこに割り込むほどの勇気はなかったってことか、さすがの無敵のマイキーも。
とは言え…
「今日は家に帰って映画の続きを見るっていう超重要な用事があるから。あと、学校に不法侵入するのいい加減やめな?怒られるよ」
「あー、なんかさっき言われたけど、お願いしたら許してくれたよ」
「暴力使ってお願いしたんですねー」
「てへ♡」
「可愛くない可愛くない」
万次郎に正当な注意をして、理不尽にボコられた誰かさんに黙禱を捧げる。ご冥福をお祈り申し上げます。
「なー、冷てぇこと言うなよ〜」
「人前でベタベタ引っ付かないで」
後ろから腕を回されむぎゅりと抱きしめられる。重い。万次郎の距離感がゼロに近いのはもうだいぶ慣れたけど、こうやって誰かの前で露骨に引っ付かれることはほぼほぼない。東卍のメンバーの前でも。
「…じゃあ何、Aん家で、2人きりでベタベタすんのは許されんの?」
「大きな声で誤解を招くような発言をすな」
場地が亡くなって以来、不安な気持ちになっているのは痛いぐらいわかるから、そう無下にもできないのが困ったところ。
「椎名さんの家で…!?」
「2人きりでベタベタ…」
ほら、なんか周りがざわついてるじゃないか。
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ま - え、これって駿台模試の英文ですか!? (2022年5月22日 13時) (レス) @page15 id: 8b077b9bca (このIDを非表示/違反報告)
わたし - まって、私坂本なんだけどw (2022年5月11日 17時) (レス) @page6 id: 4ecae0ff80 (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - シュウさん» そうなんですよ…時間があればいろんな人のエンドつくりたいとか思うんですけど、話数的に厳しかったり…(´・ω・`)楽しみにしてくださってありがとうございます! (2021年9月28日 7時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
シュウ(プロフ) - 夢花さん» この作品いつも楽しみにしています。三ツ谷も千冬もマイキーも選べない!各々のエンド作って欲しいです(土下座(願望なだけなのでご無理はなさらなず) (2021年9月28日 4時) (レス) id: ad2f2b2a8f (このIDを非表示/違反報告)
夢花(プロフ) - 千冬…………まぁ、可愛いければなんでもいいよね!!!うん!!! (2021年9月24日 18時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年9月3日 9時