たらたら42 ページ43
「す、すとーーーーっぷ!!」
突如として目の前に割り込んできた人物を見て、万次郎は思わず目を見張る。
「……A、なのか?」
埃っぽく、少しやつれ気味だが、相変らずその可憐さと美しさを欠片も損なわない、それは紛れもなくAだった。
「それ以上やったら、一虎が死んじゃうから。万次郎に人殺しになってほしくないんだ、だからお願い、もうやめて、ね?」
ビキリと、額が音を立てる音が聞こえた気がした。
「ア?オレは殺すつもりでやってんだよ、お前も死にたくなかったらさっさとどけ」
ゾッとするほどドスの利いたが口から洩れる。
けれども、Aはその場をどくことはおろか、なお一層その表情を険しくさせる。
「万次郎がどんなに辛い思いをしたのか、私には分からないし、分かる なんて軽々しくも言えない。…でも、どんな理由があっても、人を殺すのはだめだ、万次郎」
今だってAは、逃げ出したくなるほどの恐怖に襲われているはずだ。実際、バッと横に広げられた両腕は、小刻みに震えている。
そんな感情を精一杯閉じ込めて、それでも一虎を庇う姿はさながら、傷付いた我が子を身を挺して守る、母親のようにも見えて。
どす黒い憎悪が沸々と湧き上がる。―――何故、どうしてAは、こんなやつを。
「オマエは、Aは…ソイツの肩を持つのか?…ソイツの、オレの兄貴を殺した奴の、味方をすんのかよ!!?」
怒り任せの感情的な声。目の前のAが、刺されたような顔をする。
「――どっちの味方とか、そういう話をしてるんじゃない!私は、ただ…」
「どけよ、A」
そこに来て声を挟んだのは、今まで黙っていた一虎。好戦的な笑みを、万次郎に向ける。そのまま立ち上がろうとして、
「いい加減にしなさい、一虎!!」
「……ぇ」
両手で顔をグワッと掴まれて、思わず困惑したような声が漏れる一虎。
「そもそもアンタが事の発端なんでしょ!?アンタ一体、どれだけ他人に迷惑かけたら気が済む―――」
「―――一虎」
何の感情も籠らない、平坦な声だった。額同士がくっつかんばかりの勢いで怒鳴りつけるAと、その雰囲気にのまれている一虎の2人が、同時にこちらを向いた。
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キャラメルシュガー(プロフ) - まって..wwこのお話面白すぎて夜中なのに爆笑してしまったwww作者さん神‼️ (2022年8月18日 0時) (レス) @page18 id: 9b02bb5cbf (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - 全部千冬が引き継ぎます!! (2021年9月3日 10時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
なのは(プロフ) - あとなんか知らんけどバジリスクが4ぬとこめちゃ冷静でした丸 思い言え無くて残念だったねバジリスク…君の無念はきっと千冬が果たしてくれるよ多分! (2021年9月3日 9時) (レス) id: 4035e5a938 (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - なのはさん» なんか壮大なストーリーが始まる予感…っ!! (2021年9月3日 9時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
なのは(プロフ) - 雨降り星さん» そう…これが…黒い衝動の始まりだった…(((おやめなさい (2021年9月3日 9時) (レス) id: 4035e5a938 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年8月21日 0時