【オリジナル/BL】悪魔の翼 (ページ43)

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五本の柱 part4 ページ43

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　別に彼から憎悪を向けられるのも構わないのだが、その前に覚えた恐怖と絶望が憎しみにまで昇華するにはかなりの精神力がいるから、しばらくはそうならないであろう。しかも生来のものなのか、ユウは人を憎むということを知らない気がする。でなければ、酷い仕打ちをする相手を気遣ったりなんてしないだろう。
　どうにも人が良すぎる。
「ほんとにさぁ、負けだよぉ。負け」
　ユウの意識がないのをいいことに、アイリは自嘲的な笑みを浮かべる。
　自分の能力は大嫌いだし、憎んだこともあった。自分勝手な理由で羽根を引きちぎる天使達に憤りを覚えたこともあった。
　だから、自分を利用してきた者達は全員、能力で殺した。
　しかし、好き嫌いは別として、今はこの能力がありがたかった。この能力がなければ、自分はユウをここに縛っておけない。
「まともなやり方じゃないのは、ボクにだってわかってるさ……」
　けれど、こんな感情を抱くとはわかっていなかったし、初めは壊してやるつもりだったのだから仕方ないといえば仕方ない。
「あーあ」
　惚れたら負け。アイリはそう、溜め息をついた。

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