【オリジナル/BL】悪魔の翼 (ページ16)

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月桂樹の輪 part5 ページ16

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「食わせたのか、オマエの肉を……！」
　悪魔の翼を。
　恐らくユウは、『アイリヴ』の逸話を知っていても、容姿までは知らない。粛清されたとされている『アイリヴ』が可愛らしく、そしてなんの後ろめたさもなく毒を差し出しているとは、性善説の元に生きているユウには考えられなかっただろう。しかもユウは警戒心は強い方であるが、私生活では抜けている面が否めない。
　それがエイスを苛立たせ、ユウを嫌う要素のひとつでもあったが、そんなことは今どうだっていい。
　背中を冷たい汗が伝った。それはゼフィラの方も同様であったが、彼の呼吸は深く、ゆっくりとしたものに変化している。
　既に戦闘態勢。ゼフィラの放つ気迫は暴風のように激しく、その手に得物たる投刃を握る姿は、悪魔を狩る一騎当千の戦士だ。
　エイスも己の武器たる斧槍(ハルバード)を握り、神力を循環させる。
　それをものともせず、アイリが一歩踏み出した。武器も翼もない。神力を使う気配すらない。
　二人の動作は阿吽のそれだった。倒れ伏すユウを背に、エイスは斧槍を向け、ゼフィラが低く唸る。やはり何も無いかのようにアイリが腕をすっと伸ばし、
「っが、ぁああああああ！」
　再び、ユウが絶叫した。

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