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「でもまぁ…」
「ん?」
少し不服そうに頬を掻いて、梅ちゃんがドカリと座り直した。簡素なパイプ椅子が軋んだ悲鳴をあげる。
「我妻がAのこと好きだってのは、分かる気がするわ」
「は!?好き!?」
今の相談のどこをどう切り取ったらそんな解釈に至るわけ、梅ちゃん。
そもそも好きって、そんな話してないでしょ。
「高校の時からアイツずっとAのこと見てたじゃん、まじキモいけど」
「知らない知らない」
「気づいてないのあんただけじゃない?」
「いや、そんなこと…」
ーーー知ってるに決まってるでしょう?
ふと、あの時の善逸くんの寂しげな表情が浮かぶ。
まさか本当に私を知ってたってこと?
いやでも何で?こんななんの取り柄もない私を?
「そもそも善逸くんて女の子好きって噂あったし、私のことも何かの間違いじゃ…」
「アイツはたしかに女好きだし、女には馬鹿みたいに優しいけど、Aを見てるときの目だけはまぁ、少しはまともだったかな」
「まっ、待ってよ梅ちゃん!そんなこと急に言われても困るよ!」
困惑する私に梅ちゃんは少し目を見開いたあと、可笑しそうにくつくつと笑い出した。
「アタシは我妻もだいっっっ嫌いだからどうでもいいけど、Aにこんな顔させた責任はキッチリ取らせないとねぇ」
「は!?」
「ほら鏡貸してあげるから、まともな顔になるまで仕事戻ってこないでよね」
客が勘違いするから、そう言い残して梅ちゃんは休憩室を後にした。
勘違いってなに。そもそもまともな顔って…
「っ…」
覗き込んだ鏡には頬を真っ赤に染め上げた自分の情けない姿。
ちょっと待って、なんでそんな顔してるの。
これじゃあまるで私が善逸くんのことーーー
「いやいやいや何考えてるの私」
そんなことありえない。
顔を大きく横に振って、冷めたブラックコーヒーを火照った喉に流し込んだ。
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churi(プロフ) - ☆りんご☆さん» ☆りんご☆様(^^)コメントありがとうございます!とっても嬉しいです(;O;)またご縁があればよろしくお願いします★ (2020年11月18日 15時) (レス) id: c462110017 (このIDを非表示/違反報告)
☆りんご☆(プロフ) - とても素敵なお話でした!これからも頑張ってください! (2020年11月18日 10時) (レス) id: b4140779db (このIDを非表示/違反報告)
churi(プロフ) - 葵さん» 葵様(^^)コメントありがとうございます!そう言っていただけで嬉しいです★また妄想がまとまったら形にしていきたいと思っていますので、その時は宜しくお願いします(*^^*) (2020年11月15日 5時) (レス) id: c462110017 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 続編にしても善逸の短編にしてもめちゃくちゃ楽しみです。。。。!!!!早く読みたいです!泣 頑張ってください!! (2020年11月14日 12時) (レス) id: efe86a5252 (このIDを非表示/違反報告)
churi(プロフ) - 尊さん» 尊様(*^_^*)誤字の件、教えてくださりありがとうございました!!全然細かくないです…すみません。嬉しいコメントも重ね重ねお礼申し上げます☆ (2020年11月14日 11時) (レス) id: a5a165b70a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:churi x他1人 | 作成日時:2020年10月28日 16時