[鬼灯の冷徹]天国で働く私はどうやら愛されているようです

やさしさ2 ページ45

只今、時刻は10:00あたり。

起きてから2時間は経ちました。

私はあの薬(正確には漢方だけど)の

おかげで、調子はいくらか

良くなった。

…"いくらか"、ね。



完全に元気になったわけじゃない。

まだちょっとボーっとするって

いうか、ずーんとするっていうか…

…まぁとにかくそんな感じ。

桃太郎さんもあんまり気分が良くないらしく、

だるそうにしている。



…っていう状況なので、今日は

さすがにお店はお休み。



思い返してみると、

たしか私が桃太郎さんに

「お酒呑もう」って……

自分が呑めもしないクセに誘っちゃったんだよね…。

悪いことした。

A:(桃太郎さんごめんなさい。

付き合って下さってありがとうございました。)

心の中でそう呟いた。



ー数十分後ー

白:「………お………

おえっ………



…あ……

…Aちゃん………

桃タロー君…………


おはうぇっっぷ」


白澤様がフラフラしながら

起きてきた。

…けど吐き気に勝てずにトイレに

直行してしまった。

A:「……う…


…うわぁ………。」

も…戻しちゃってる…。

桃:「…お…音が……。」

A:「…耳ふさいどこ…。」

桃:「俺も…。」


ー何分か後ー

しばらくすると、げっそりした青白い

顔の白澤様がやっとトイレから

出てきた。

白:「…はぁ……。」

そして、そこら辺のイスにどかっと

音をたてて座った。

桃:「白澤様、もう今日は店お休みってことに

しちゃいましたよ。

俺らもあんまり体調良くないんで…。」

…ごめんなさい桃太郎さん…。

白:「…うん……。

…そうして……。」

A:「………。」

がっくりとして声に力が入っていない白澤様を見て、

何だか"何か手助けをしたい"と思う気持ちが

強くなってきた。

だってあのブランケット掛けて下さったの、

白澤様だと思う。

多分掛けてくれた時、酔ってただろうに、

そんな時でも他人への気遣いができるって

すごいと思う。

私だったらそんなこと出来ない以前に

考えられないと思う。



それに。

さっき、白澤様がトイレに

行ってる間に、私は起きた時に飲んだ漢方と

同じのを探した。

そこで“二日酔い用“と達筆な字で書かれた

紙が貼ってある棚は見つけた。



けどその棚の中には何もなかった。




空っぽだったのである。

だから、白澤様は

"自分は次の日二日酔いになるだろう"

と(多分)分かっていながら、自分用に薬を

残さなかったので今に至ってしまったのである。

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