Rainbow Kiss〜ナナイロのキスの味〜No.4

Blueberry Kiss27 ページ27

信じられないといった顔で俺を見ていて、固まって動かない。


仕方ないから階段を駆け下りると、それでもまだ同じところから動いてない。


たけと、視線だけ俺に向けて言った。




A「夢じゃ……ないよね？」




その瞬間、彼女の目からは大粒の涙が止めどなく溢れ出た。


駆け寄って、抱きしめて……


それでも足りなくて、今までの距離を埋めるように唇を重ねる。


初めてのキスのように、してもしても足りないくらいAの唇を求めた。


人がちらほら居ても気にならないのは、ここはパリだから。


そこら中で俺たちみたいなカップルが唇を重ね合ってる。




A「なんか……恥ずかしいね？」




Aは照れ隠しなのか赤い顔で微笑んだ。


やっぱり、あの頃と何も変わらない笑顔に思わず目を細めてしまう。




千「そうかな？……あ！」




桜の花びらが髪に付いてるのを取ってあげて、目の前に差し出した。




千「……こうしてまた会えたのも、これのお陰だな」




A「桜に感謝だね。でも……」




千「でも？」




A「離れたから、健永の大切さに気づけた」




今までごめんね、と呟いた彼女を、また強く抱き寄せた。




千「何言ってんだよ。俺がワガママだったの！でも取り合えず……仲直りってことでいいんだよね？」




A「うん！」




俺の腰に抱きついてきた彼女が妙に可愛い。




千「つーか、このまま日本に連れて帰りたいんだけど」




A「私も早く帰りたい……」




千「それは無理だから部屋行く？」




何を勘違いしてるのか、Aは慌てふためいた様子でまた赤くなった。




千「何妄想してんの？寒いからって意味だったんだけど」




意地悪でからかってみる。


もうバカ、なんて俯く彼女が愛しくて仕方がない。




千「A……」




視線が合えば、キスが出来る距離に幸せを感じて。


唇が重なれば、距離なんてものは存在しない。


久しぶりに肌を重ねるのもいいけど。


でも……もう少し……


このまま、ひとつになってたい。


そのくらいのワガママは……


許してくれるよね？







fin.

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