Rainbow Kiss〜ナナイロのキスの味〜No.4

Blueberry Kiss18 ページ18

桜「そんなに思い詰めないで。友だちと過ごすみたいにフランクに考えてくれるといいんだけど」




私を気遣う言葉に、どれだけいい人なんだと涙腺がまた緩んじゃいそうで。


さっきのリアクションからして、健永は私の誕生日は絶対に頭になかった。


一人は嫌だし……


友達と過ごすって考えれば受けてもいいよね？




A「一緒に過ごして……くれるんですか？」




桜井さんは眉を八の字にして、参ったな、というような表情を見せた。


それから、そっと私を抱き寄せて耳元で囁く。




桜「僕が過ごしたいんだってば」




A「あの、あのっ……」




こんな道のど真ん中で。


しかも、こんなにカッコイイ人に抱きしめられてドキドキしないワケない。


固まる私を覗き込むと、彼は悪戯をした子どもの目で笑った。




桜「ふはっ……真っ赤で可愛い」




A「からかわないで下さい……」




隠すように両手で顔を覆うと、温もりはゆっくり離れていってしまって。


残念、なんて思ってる自分がいる。




桜「泣きたくなったら、僕を呼んで。一人で泣いたら余計に悲しくなるだろ？」




温もりの代わりに大きな掌が頭に置かれて、あやす様に優しく撫でてくれた。


こんなにも優しさで溢れる言葉に触れたのはいつだったか……


もう思い出せないほど遠い昔の話。




A「あんまり優しくしないで下さい……フラつきたくないので」




桜「フラついてよ。フラフラして、僕の方に寄り掛かっちゃえばいいんだ」




例えば、健永とじゃなく桜井さんと付き合っていたなら。


今のような関係に陥っていたのかな。


恋しさや思いやりや優しさっていうモノは、何年も持続するのは不可能なの？


ねぇ、健永……


あの日から変わらずに、私のことを好きでいてくれてる？


私はずっと……


桜吹雪の中に佇むあなたに、今も恋してる。

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