Rainbow Kiss〜ナナイロのキスの味〜No.4

Blueberry Kiss16 ページ16

Aside



店から出ると、涙が溢れてきた。


自分から言い出したことなのに……


距離を置いたらダメになるんじゃないか。


というか、彼はずいぶん前から私のことを愛してなかったんじゃないの。


そんな風に思って、人目もはばからず泣きじゃくっていたら、腕を力強く掴まれた。




桜「勝手に行かないでよ……居なくて焦ったし」




振り向くと、大きく肩を上下させている桜井さん。


不意打ちだったせいで、泣き顔を見られてしまった。




桜「どうかしたの？俺で良かったら聞くけど……っていうか、聞かせて？」




慌てて涙を拭うと、心配そうな眼差しで綺麗にアイロンがかけられたハンカチを差し出してくれる。


健永はポケットティッシュすら持ち歩いてないのに……


知れば知るほど、桜井さんは素敵な人。


カッコ良くて、気品が溢れていて、それでいて話術があって楽しませてくれる。


完璧で……完璧すぎて……。




A「桜井さん、ごめんなさい。私……彼氏が居るんです」




桜「え？」




A「正直に言います。ここにくるつもりなんてなくて……人数合わせに呼ばれたというか、なんというか……」




桜「そうだったんだ……」




がっかり、といった表情をしていたかと思ったら、フッと柔らかい笑みを私に向けた。




桜「なんか分かっちゃったかも」




A「え？」




桜「何で泣いてたのか、分かっちゃったかもしれない」




A「どうしてですか…？」




桜「彼氏のこと……でしょ？」




推理小説の主人公のような、謎は全て解けたとばかりにニヤリと笑った。

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