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カランカランとベルが小気味よい音を立てる。
ほうきとちりとりを手に掃除をしていた見慣れた男がベルの音に気が付いてこちらを向いた。
「すみません、開店はもう二時間程…
……ふっか？？」
「やほー。
この子のカットとカラーとメイクお願いしたいんだけど。」
「それでこんな早い時間を狙ってきたわけね。
じゃあ、そこの椅子座ってくれる？」
珍しく本気で驚いたようで、目がまんまる。
彼女のことをお願いしたら快く引き受けてくれた。
俺の好きそうな感じって超アバウトなイメージを伝えたけど、「それだけでイメージがついちゃう自分が怖い」っていつもの柔らかな笑み。変わってないなあ。
彼女のスタイリング中は舘様と彼女で基本的に盛り上がっていたから、俺はすることなく舘様の手で綺麗になっていく彼女をぼーっと眺めていた。
「見惚れちゃった？」
「うん。」
「何言ってるんですか…！？
というか宮舘さんも変なこと聞かないでください！」
ぼーっと眺めていたというか見惚れてぼーっとしてた。言い当ててきた舘様には既に俺が本気なことがバレてる気がする…。舘様にはバレたけどもう一人にはバレない自信が…と考えたところでふと疑問が。
「てか、なべは？」
「時計見てよ。
まだ9時にもなってないんだよ？」
朝弱いのは相変わらずらしい。
舘様が引きずって学校来てたの懐かしいな。
そんな話を彼女にしてもつまらないだろうから、と高校時代の岩本さんの話とかしながら3人で時間を潰していたら。
「いて！？」
「うわ……？涼太…じゃないな。」
急に開いた扉が俺にクリーンヒット。
声だけで舘様じゃないとかぼやいてる例のそいつ。
「ちょっとそんなとこでゆり組見せつけるのやめてくんない？また俺が阿部ちゃんに怒られる。」
「知るかよ。てかなんでいんのこんな時間に…。」
呆れた顔でこちらを見る。
そうそうこの目。
岩本さんと阿部ちゃんとこいつと彼女にしかこんな目を向けられたことないんだよなー。
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作者名：しぅ
| 作成日時：2021年5月10日 21時
