ひとりになりたくない魔法使いと手離したくない零お兄さん ver.５【名探偵コナン/降谷零 安室透】

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そうだ安心してる場合じゃない

何しろ五日も眠り続けていたんだ

身体に何らかの影響があってもおかしくない




降「っ今すぐ医者を…」


しかしAの顔を見て


言葉を忘れた





僕を見上げてくる大きな桃色の瞳から


ぽたぽたと


雫が零れ落ちていて



「…っ…っ…」

それは止まる事なく流れ続け

とうとう嗚咽を漏らしながら泣き出してしまった



降「…」

言葉が出てこなかった

この世界に来て

初めて僕の前で涙を流したAに

本気で何も考えられなくなった

次々と溢れ出ている涙を懸命にぬぐっているAの両手を空っぽになりかけた頭で握る

その手をAが握り返してくる









「…ひとりにっ…しな…いで…っ…」


震えた声で


発されたその言葉に


目を見開いた



「…やだっ…ひとりは嫌だ…っ」


僕はその時

Aの弱音を

初めて聞いたかもしれない



「っひと…りに…っしない…で…っ
おね…がいっ…お願い…っ」

“お願い”と

何度もそう言ってくるAに

酷く胸が締め付けられた



降「…っ」

Aの頰に両手をやり

顔を上げさせ目を合わせる



流れる大粒の涙が


泣きたくなる程


綺麗だと思った



降「…A…」

恐らくその時僕は

酷く情けない顔をしていたと思う







降「…独りになんか…しない…」


死にかけて


Aに助けられた僕が


約束出来る事なんかじゃない


そんな事わかっている




それでも…







降「…約束する
…絶対にだ」



この子にだけは



悲しい顔を



させたくなかった






降「…ごめん…」

Aが目を大きくし

僕の頰に流れるものに手を伸ばそうとしたが

その前に自分の腕の中に閉じ込めた



降「ごめん…っ
A…！」


今までAが


涙を流す事を


どれだけ我慢してきたかはわからない


それを壊すような真似をしてしまったのは


他でも無い僕自身で


それでも



他でも無い



僕の事で



我慢出来ずに



泣いてくれたAが





酷く






愛しかった






.







.







どれだけそうしていただろうか

泣き疲れたのかAは再び眠ってしまった

けど今度はもう眠り続ける事は無いだろう

Aを抱き上げベッドに寝かせる



降「…」

Aの顔にかかった髪を寄せる

そっと額に口付けた後


ナースコールを押した






降「…ごめんな…A…」




僕はもう





君を






手離せない









手離したくない

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