【カゲプロ】笑わない、笑えない、笑いたい。【カノ】

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ｶﾁｬ


貴「カノー？」

カ「んー……？」

部屋に入ると、カノは私に背を向ける向きで寝ていた。
声を掛けると寝返りをうち、少し赤らんでいる顔が見えた。

ベッドに座り、体を起こしたカノに水と薬を渡す。


カ「ん、ありがと」


錠剤を飲み込むのが苦手なカノを見て笑ってしまうのも、もう毎年のこと。

そこでカノは、笑わないでよ、と不機嫌そうに唇を尖らせたあと、笑うんだ。


カノが小さな寝息を立て始めた。すぅすぅと、可愛らしい音が部屋に響く。


……ねえ、カノ。何でカノは、隠しちゃうのかな、何でも。


小さく呟いた独り言は、カノに聞いて欲しくは無く、でも聞いていて欲しいなという矛盾した心から絞り出したものだった。
それは、一度溢れたら止まらない代物で、ぽつりぽつり、と本心が零れだした。



　

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