形だけでも［完結］ (ページ4)

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保健室ページ4

何度目のチャイムだろう。
多分、そろそろ帰る時間。

でも帰りたくない。

また襲われる、怖い。

1人で泣いていると屋上の扉が開いた。

松村｢おーおサボりガール｣

『…なんだ、松村先生か』

去年の担任の先生の松村先生。
結構イケメンで人気。

でも理系の先生だから女子生徒との絡みは割と少ない。

松村｢泣いてんの？｣

『泣いてない』

無理がありすぎる嘘。
でも本当のことを言って何になる。

松村｢お前変わったよな。笑わなくなった｣

笑えるわけが無い。

『ほっといてよ』

そう言って急に立ち上がったせいで立ち眩みがした。

もうまともに食事なんて取れてない。
睡眠不足も酷い。

私は松村先生に身体を預けることしか出来なくて、
そのまま意識を手放した。

その間夢を見た。

父に襲われている夢。

最悪だ。

次に目が覚めたのは保健室のベッドの上。

『…せんせ』

松村先生は私の涙を拭っていた。

松村｢養護教諭の吉田先生、今日出張でいないんだよ｣

お前サボってたから知らないだろ、って。

松村｢何があったの｣

心配そうな顔の松村先生。

夕陽が射し込んでて、綺麗な顔が映える。

松村｢その首、どうした｣

私は答える前に、松村先生のネクタイを引っ張って、キスしていた。

松村｢…なにしてんの｣

『私、もう無理』

気づいたら先生にしがみつきながら泣いてて、

気づいたら全部話してて、

気づいたら松村先生が覆いかぶさってて、

松村｢後悔すんなよ｣

なんて言われてて、

私も

『後悔なんてしないよ』

って答えてた。

『綺麗にして』

感じたことの無い感覚と、揺れる保健室のベッドの背徳感だけが脳内を支配していた。

乱れた衣類を整えながら、先生は言ってくれたの。

松村｢つらいなら俺のところに来ればいいよ｣

って。

全部綺麗にしてあげる、って。