イーガ団の幹部 (ページ5)

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旅立ちページ5

朝気がつくと、私は自室にいた。
そうだ。昨日コーガ様の胸中で号泣したのだ。……わざわざコーガ様は運んでくださったのだろうか。
準備を済ませようと、ふとクローゼットを見ると、中で何かがカタカタと動いていた。
気を引き締めて扉を勢いよく開けると、中からワッ！とコーガ様が驚かせてきた。
「ひゃあ！」
「フハハハハ！弱々しい悲鳴だな！こういう時はもっと大きな悲鳴を上げなければ、面白くないぞ！罰としてくすぐりの刑だ～！」
嫌な予感がした時には、もう遅かった。
私はコーガ様のこちょこちょ攻撃を、笑い死にしようになるくらい、存分にくらってしまった。
正直に言って、稽古より辛い。息切れが止まらいのを見てコーガ様は、少し反省したように私の顔を覗き込んだ。
族長には似つかわしい可愛らしい仕草。その隙を見計らって、先程のお返しをしようと思った。
「その油断が……っ！」
そう言いかけてくすぐり返しを試みた途端、くるりと受け流されてしまった。
「なっ……！」
「まだまだ甘いぞ！A！」
すると、扉の前でコホンと咳払いする部下が。手には大きな革製のリュックを持っている。
「ノックも無しに申し訳ありませんでした。……名無し様、出発の準備が整いました。ゼルダ姫の騎士任命の儀式は11時ですので、早く出ないと厳しいかと……」
恐る恐る部下はリュックを渡してくれた。衣類や武器や飲料水が沢山入っていて、その中には亡き父の写真も添えてあった。
「最低限のものはハイラル城で用意してくださるでしょう。お気をつけてくださいませ」
「ありがとう……」
重たいリュックを背負うと、その反動で体が前に揺れた。
大丈夫か、と支えてくれるコーガ様の手の感触も、これで最後と言っても過言ではない。ゼルダ姫を暗殺したら、すぐに処刑されるだろうから。
｢これくらい、修業に比べれば微塵も辛くありません！……では、行ってまいります！」
大きく部下やコーガ様に礼をし、恐る恐る1歩を奨めた。すると、ゲルド砂漠を抜けたところでコーガ様が岩陰に隠れているのが見えた。